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30.引きこもりとおっさん―11

「わ、分かった。そのことはもういいさ。とにかく、これを見てくれっ」


 そう言って、グルゥは動き回っているミルププの尻尾を捕まえた。


 キットのものとはまた違う、黒くて細い、先端が三角に尖った鍵尻尾である。

 悪魔についているイメージがあるような、動物のものとは違う雰囲気の尻尾だった。


「ひぁ…………ぅぅ…………」


 尻尾が敏感なのはどの種族も同じなのか、ミルププは顔を赤らめ、ビクビクと体を震わせている。


「これで分かっただろう? ミルププは、『ベルゼブブ』の血統の魔人なのだ。その種族特徴は、小柄な体と黒い尻尾。つまりこんな見た目でも、ミルププは立派な成人女性なんだよ」


「『ベルゼブブ』!? よく分かんないけど、ここは『サタン』の国じゃないのか!?」


「まあ、それには……色々あってだな。遅かれ早かれ説明しなきゃいけないことだ、私が話してもいいか?」


 当然のキットの疑問に対し、グルゥはミルププに問いかけた。

 ミルププはコクン、と小さく頷いてから、


「ぉじ様の………………ぇっち…………」


 と、もの凄く小さな声で言う。


「えっち!?」


「『ベルゼブブ』の尻尾は……心を許したパートナーくらいにしか、触らせることはなぃ……男女の付き合いの中でも、とても大切なコミュニケーションの器官……」


「そ、そうだったのか!? それはすまない、申し訳ないことをした――」


「ド変態がッ!!」


 えっち、という言葉に条件反射的に反応して、再びサリエラの平手打ちがグルゥの右頬に決まった。

 ふらついたグルゥは、うっかり床に設置されたスイッチを踏んでしまう。


「あ」


 角材、粉、触手、の三コンボ。

 再び地獄のような時間が始まったが、グルゥ曰く誰も得しないので以下略。

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