30.引きこもりとおっさん―9
「っていうか、二十歳って……オレより年上なのか?」
「ああ、そうだ。ミルププの頭を見てみろ」
グルゥに促されてキットは見てみたが、ちっちゃなミルププの頭には、美しい銀髪が輝いているだけだった。
「いや……普通だけど?」
「それが、我々にとっては“特殊”な事情なんだ。……次に、ミルププのお尻を見てみろ」
「こ、こんな小さな子のお尻を見ろだなんて!? さすがにそれはアウトですよ、お父様!?」
やばいことを言い始めた、と震える二人。
仕方ないと、グルゥは重いため息をつきつつ、どうにかこうにか体を起こしてミルププの体を捕まえる。
「んんーっ!?」
そして、着ていたワンピースの裾をたくし上げると、二人にミルププのお尻を見せ付けた。
「そ、そんな、ミルププ……!?」
「そんなことって、ありますの!?」
驚愕する二人。
ついに理解したかと、グルゥはミルププの体を解放したが――
「おむつを着用しているなんて!? やっぱりミルププは、お子様じゃないですか!!」
続くサリエラの言葉。
まったく伝わっていなかったと、グルゥは盛大にずっこける。
「そうじゃなくて! 尾てい骨の辺りから、黒い尻尾が生えているのを見たろう!? っていうかおむつ!? なんで!?」
が、逆にその事実にグルゥの方がおったまげてしまった。




