30.引きこもりとおっさん―8
グルゥに怒られてぎゅっと目をつぶり、ぷるぷると肩を震わせる、ミルププの仕草。
「どう見ても子供じゃん」
「そうですよ。お父様にしては大人げないです」
完全にミルププの策略に嵌まっている二人を見て、グルゥは大きくため息をつく。
「見た目に騙されるな! ミルププは……! コイツは……!! 二十歳の立派な成人女性だっ!!」
「二十歳!?」
信じられない、とサリエラは大きな声をあげてからもう一度ミルププを見た。
ミルププは顔を真っ赤にして、一心不乱に紙に文字を書いている。
『女性の年齢をばらすなんて、おじ様サイテー』
「フン……何がサイテーだ……お前、さっき私に何て言おうとしたんだ? 紙に書いてみろ」
グルゥに促されて、きゅっきゅと一筆したためるミルププ。
『七大嫌がらせ呪術の一つ、“無限ぬるぬる地獄”のお味は如何でした?』
「どう見ても煽ってるだろ!? いいか二人とも、ミルププはこういうヤツなんだ!! あまり油断するなよ!?」
グルゥの言葉に、ミルププは恥ずかしそうにきゃーっと顔を伏せる。
純真無垢な少女の姿と、グルゥに対しての反抗的な態度、どちらを信じていいのか分からずに、キットとサリエラは困惑した顔をしていた。




