表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/984

###暗室にて###―2

「あ、あ、あ、あんた、なにコレ――」


「いやぁ、ほらさ。こういうのって“なろう”でよくあるジャン? チートを使ってハーレム生成ってヤツ」


 ニッと楽しげに笑う少年。

 そこには一ミリも悪びれる様子はなかった。


 起き上がった少年は、ハローと声を掛けながら、裸の少女達の頭を順番に撫でて回る。


「チートスペル“魅惑香テンプテーション”。部屋の中がくっせーのが玉に瑕だけどな」


「サ、サイテー。そんなことして、酷いと思わないわけ?」


 少年の行いに、少女は女性の一人として怒っていた。


「酷い? どうしてだよ、だってこの世界は俺達の世界じゃないんだぜ? ってことは、何をやったって自由ってことだろ。こんなヤツら、俺達にとってはモノでしかないんだ」


「……それが勇者の言うセリフ?」


「言うだけの仕事はちゃんとこなしてるさ。『イルスフィア』からの人柱の調達も、順調に進めてるからな」


「……勝手にしろっ!」


 話にならないと、少女は肩を怒らせながら部屋から出て行こうとした。

 その背中に、少年は軽薄な口調で語りかける。


「それに勘違いしないでくれよな。俺ってこう見えてピュアだからさ、コイツらはただのフィギュア代わり。やましいことはしちゃいないよ」


 その言葉に、少女は言い返す気力も失ったようだった。


「そういうことは、初恋の人とヤるって決めてるからな、俺。偉いだろ? 勇者のことは嫌いになっても、俺のことは嫌いにならないでね」


 少女の答えは、バタンッと目一杯の力で閉められた扉が答えていた。

 それを見て、少年は満足げにベッドの上に寝転がる。


「あー、異世界転生って最高ッ!! チート様々だな、こりゃ」


 独りでに閉まるカーテン。

 室内は、再び闇に包まれようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ