###暗室にて###―1
カーテンを閉め切った暗い部屋の中。
室内には、甘ったるい薬品のような臭いが充満していた。
そしてその暗闇の中で、時折鋭く光る眼光が、一つ、二つ、三つ――六つ。
「ねぇ、いつまで寝てるつもりなの」
唐突に部屋の扉が開いて、唇の厚い尖った目の少女が入ってきた。
差し込んできた光から逃げるように、ベッドの上の少年はうーんと唸りながら毛布を被る。
「だりぃ……」
「あんた、またそれ? あんたの都合に付き合わされるこっちの身にもなってよね」
「夕べ遅かったんだよね、俺。もうちょっと寝かせてくんねーかなぁ」
「もうちょっとって……もう十二時だっつーのっ! こんなんじゃ、他の勇者に遅れを取っちゃうじゃん!!」
少女に怒鳴られて、少年はうるせーなぁ、とぼやきながら上半身を起こした。
だが眠い目を擦るだけの少年を見て、埒が明かないと、痺れを切らした少女は乱暴に部屋のカーテンを開ける。
「あッ!? ちょ、おま――」
「キャアアッ!?」
少女の叫びがこだました。
「やれやれ、見られちまったか」
肩をすくめ、だるそうな口調で少年は呟いた。
部屋の奥には、裸の少女が三人。
誰もが虚ろな目をして、マネキンのように立ち尽くしていたからだ。




