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27.世界の終わりとおっさん―3

 グルゥの吐く熱線は未だに衰えることを知らない。


 怒り。悲しみ。悔しさ。そして絶望。


 全ての負の感情を出し切るが如く、グルゥは獣の目のまま熱線を放出し続けた。

 そして熱線はついに、逃げ回るアキトの右肩に、ほんの少しだけ触れることに成功する。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 肌と肉が一瞬で蒸発する感覚に、アキトは絶叫をして転げ回った。

 だが、憎しみの込められた炎が、それだけで終わるはずがない。


 ほんの小さな火種として着火した黒い炎は、いくらアキトが転がっても消えることはなく、むしろ周辺の肉を巻き込んで着々と勢いを増していく。


「熱い!! 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃあああああああああああああああああああ!!」


 じわじわと体を焼かれる苦しさに、アキトはのた打ち回って悶絶した。


「“完全回復フルリペア”ッ! “完全回復フルリペア”“完全回復フルリペア”“完全回復フルリペア”“完全回復フルリペア”ぁぁぁぁぁぁッ!!」


 いくら火傷を治しても、いくら体を再生しても黒い炎は消えることなく、アキトの右半身を徐々に徐々に焼き尽くしていく。

 再生をする度に痛覚までもが復活するため、アキトは無限の苦しみの中、ついには発狂してしまった。


「ああああああああああああああああははははははははははははははははあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 次にグルゥと目が合った瞬間、アキトは己の死を覚悟した。

 だが、炎に焼かれれば死よりも辛い永遠の痛みが、自分を苦しめることになる。


 その事実に気付いた瞬間、アキトは熱線を向けられるよりも先に、自ら地上へと身投げしていた。

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