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27.世界の終わりとおっさん―1

 誰も、助けてはくれなかった。


 どれだけ自分が他人を助けても。

 いくらそれが、見返りを求めない無償の善意だったとしても。


 自分たちを助けてくれる者は、この世界には誰もいない。


 グルゥはそう思った。

 思い込んでしまった。


 だから――破壊した。


「っく……うっく…………ぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああうおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 グルゥの嗚咽は、やがて現実を受け入れることが出来ない叫びへと変わり、その体は見る見るうちに魔獣の姿へと変貌していく。


「おいおい、たかがガキ一匹如きで、いつまで泣きべそ……かい……て……」


 余裕綽々でいたアキトも、今回ばかりはその異常を察知していた。


 今まであれば、魔獣化をしてもその目から読み取れていた、グルゥの感情。

 だが、今、アキトの目の前にいる魔獣は、何の感情も抱いていない獣の目をしている。


「誰だ……お前…………?」


 グルゥの両目の焦点が、アキトを狙いを定めて固定される。


「やべえッ!!」


 とっさにアキトは走り出し、気を失っているゴブリンドラグーンの巨体を盾にした。


 その直後、グルゥの体内で処理できなくなった超高温の塊が、一筋の熱線となってグルゥの口から射出される。

 熱に強いはずのドラゴンの体が、直撃を受け一瞬で蒸発し無くなった。

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