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26.続々・復讐とおっさん―8

「どう、すればいい!? キットを助けるためには、どうすれば……!!」


 多少の傷の手当の経験はあれど、これほどの大怪我をした者を治療する術を、グルゥはしない。

 こんな時、自分に魔法の力でもあればと、破壊するしかない『サタン』の血統の力を恨んだ。


「おい、誰か!! 聞こえないのか!! ここに怪我人がいるんだ!!」


 ダメ元で上空のバルーン船に手を振ってみたが、反応はない。

 悪の公爵が倒された世紀の瞬間を目撃した興奮により、グルゥの声など何も届いていなかったのだ。


「こう、なったら」


 ひとまずは止まった心臓を動かさなくてはならない。

 グルゥは自らの意思で魔獣化の状態から魔人の姿に戻ると、床の上に寝かせたキットの胸に、大きな手を重ねて乗せる。


 何度も何度も、心臓が動き出すように願いながら、必死に両手を上下させた。


 自分と比べれば、小さな小さなキットの心臓。

 傷つけてしまわないように、出来るだけ繊細に力加減を意識しながら、必死にマッサージを続ける。


「起きてくれ……!!」


 気道を確保出来るようにキットの顎を持ち上げると、その鼻をつまんで、ゆっくりと唇を合わせた。

 目一杯吸い込んだ空気を、酸素を、キットの脳に届くように必死に送り続ける。


「起きてくれよ……っ!!」


 唇を離したが、キットが意識を取り戻す様子はない。

 もう一度胸のマッサージから始めようと、グルゥがその胸に手を当てた、その時だ。


「う……げほっ、えほっ……!」


 咳き込むキット。

 意識が戻ったようだと、グルゥは喜んでその体を抱き締めた。

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