25.続・復讐とおっさん―8
「な、な、な……なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
慌ててモニターを抱え起こし、映像をチェックするアルゴ公。
すると、モニターの中では自分の背中と尻がしっかりと映っている。
「こ、この映像は外の大型モニターとリンクしていたはず……。貴様、どこかの放送局の回し者だったのか!?」
「いーえ。そんなコネクション、私にはありません。ただ、この子が」
そう言って、カメラを持ってはしゃぐミノンを指差したサリエラ。
「フォルの扱いが天才的に上手でしてね。少し、フォルの波長とやらをジャックさせて頂いた、それだけです」
褒められて嬉しいのか、えへへ、とミノンは頭を掻きながら照れ笑いした。
アルゴ公は、失神でもしそうな勢いで泡を吹いて倒れる。
「な、なんだと……? そんなの、無茶苦茶だ」
無茶苦茶だ、というのはサリエラも同感だった。
だが店頭のモニターのチャンネルを自在に変えるミノンの様子や、後に襲撃者が来た際に、モニターのフォルを暴走させ即爆発を起こさせたこと。
また、トリカゴでフォルの採取に使われていた出自を考えるに、フォルの扱いに関しては何らかの才能があるのだろうと、サリエラは見抜いていたのだ。
そして思いついた今回の秘策。
ミノンの力を使ったモニタージャックで、アルゴ公の正体を暴いてしまおう、という作戦である。
モニターの映像が切り替わって、サグレスタワーの周辺が映し出されていた。
そこに映る人間は、例外なくアルゴ公に対して敵意を抱いており、既に武装してタワーの内部に突入しようとしている、血気盛んな人間もいた。
「もっとも……あなたにとって一番致命的なのは、監査中の白騎士が滞在している時に、この映像が流れてしまったことでしょうけど」
あとはお兄様が何とかしてくると。
恐らくはサグレスの何処かに居るであろうブランに、サリエラは思いを託すのだった。




