25.続・復讐とおっさん―3
アキトの命令を受け、マリモはその表情を強張らせた。
「……え?」
「そのために、ここまで来てくれたんだろ? 俺を助けるため、そして魔王を殺すために。だったら、今さら躊躇する必要はないだろうがッ!!」
「違う――彼女は殺しをするためにここに来たんじゃないっ!!」
アキトの問いに答えたのは、マリモではなくグルゥだった。
「なに……言ってんだよ。何でおっさんが口を挟んでんだよッ!!」
「彼女は純粋に、人が殺されるところを見過ごせなくてここまで来たんだ!! お前にはそれが……人の心が、分からないのかッ!?」
「うるせぇうるせぇうるせぇッ!! もたもたしてんじゃねぇよ、マリモ先輩!! あんたが魔王を殺らないのなら、まずは俺がこのガキを殺すッ!! そうすりゃもう、全部おしまいだッ! お互いに殺し合うしかないッ! 殺るか殺られるかだッ!!」
アキトは狂ったように喚き続ける。
見ていられないとばかりに、マリモは一度アキトから目を背けた。
だが。
「……おい、嘘だろ? 先輩」
マリモが改めて光の弓を向けた先。
それはグルゥではなく――アキトだったのだ。
「な、なんでだよ。先輩まで……俺を裏切るのかよ?」
「殺すとか殺されるのとか……そんなのはもう沢山よっ!! 私はこの力を……誰かを助けるために使いたい!!」
「ふ、ふざけんなッ!! 殺せ、グルゥを殺せッ、マリモォォォォォォォォォォォ!!」
引き絞った光の矢が、眩い一条の閃光となって夜の闇を切り裂いた。




