表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
233/984

24.復讐とおっさん―9

 光刃がグルゥの皮膚を突き破り、筋肉を裂き、臓器を貫いた。

 グルゥの吐血を浴びて、アキトの顔半分が真っ赤に染まる。


「あーあー……残念だよ、グ・ル・ゥ・さん。せっかくここまでの舞台を用意してやってんのにさ、なんでお預けなんて酷いことするわけ? 俺は気持ちよくヤりたかっただけなの。あんたに復讐を果たせればそれで良かったの。こんな中途半端な結末じゃさぁ……俺も存分にイケないって」


 グルゥの体内を抉るように、光刃を左右に揺らすアキト。

 グルゥはグッと唇を噛み締めて、痛みによる悲鳴が漏れるのを堪えた。


「お前は……本当に、それでいいのか」


「あ? なに? まださっきの話続けてんの? 言っとくけどさ、俺は今の自分の境遇に、何の不満も持ってないわけよ。そりゃいきなりトラックに轢かれて、気が付けば異世界でデスゲームをさせられて、最初はなんだこの“なろう”のテンプレ展開は、って思ってたさ。でもねぇ、チーレムだったり俺TUEEEだったり、経験してみると意外と病みつきになっちゃうんですわぁ、コレがまた。(笑)(かっこわらい)。あんたにも経験させてやりてぇぐらいだぜ、最高の勇者ライフ」


 拳を握り締め、脂汗をかきながら痛みを堪える。

 もっとも恐れていたことが起きたと、グルゥは考えていた。


「お? どうした? 反撃してこねーのかよ。んじゃあ、このまま内臓をぐちゃぐちゃに掻き回しちまうかな。どこまでやると死ぬんだァ、魔人って? 実験してもいいか?」


 無邪気な顔でアキトは話し続けていた。

 まだ、年端も行かぬ少年――彼の心を、自分の言葉で救えないのであれば――


「すまない、アキト」


 アキトを抱き締めていた両腕に、ぐっと力を込める。

 隆起した筋肉に挟まれて、アキトはすぐに動けなくなった。


「が……!? は、離せ、離しやがれッ!?」


「こうするしか……ないのだ……っ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ