24.復讐とおっさん―8
「うああああああああああああああああああああっ!! でも、俺、俺……もう、取り返しのつかないことを」
「それはこれからの課題だ。どこかで歯止めをかけねば……君はその取り返しのつかないことを、延々と重ねることになる」
抱き締めたアキトの体は、想像以上に華奢なものだった。
その細い腕で、今までどれだけの命を奪ってきたのか。
だが、その憎しみの連鎖は、ここで食い止めなくてはならない。
「おっさん……俺に家族まで殺されてるんだぞ!? ずるいだろ、それ。そんなヤツがそんなことを言うなんて……反則だろ」
「……分かってるさ。だからこそ、これだけは理解して欲しい。相手を許すというのは、それだけ大変なことなんだ。私と君がここで殺し合って決着を付ける方が、何十倍も簡単だ。だから私は……君が立ち直ることに、全力で向かい合っていく。君が感じたことや、不安に思っていること。それらを全て、私に教えて欲しい」
アキトは咽び泣いた。
それまでの大人ぶった態度ではなく、年相応の少年の姿で。
「すげぇ……すげぇよおっさんは。俺だったら絶対、そんな考え方は出来ない。もう一度、名前を教えてくれよ」
「グルゥ、だ。グルゥ・ヌエツト・マヌエルパ。君の名前も、改めて教えてくれないか」
「ありがとう……グルゥさん。俺はアキト。アキト・ヌエツト・マヌエルパだ」
は? とグルゥは思った。
何故アキトが、自分と同じ姓を名乗るのかと。
「ほら、俺って嘘つきだからさ」
泣き笑いの表情で顔をあげるアキト。
その手は、グルゥの腹部にあてがわれていた。
「チートスペル、“光の剣”」




