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24.復讐とおっさん―7

「こっちの世界に一緒に連れて来られた、元々の世界でも友達だったヤツらだ。そいつらを殺してゲームクリアなんてことは、俺には考えられねぇ。だから俺は……誰よりも早く勝利条件を達成して、願いを叶えてもらうんだ。三人で元の世界に戻りたいってな」


「そのために、これ以上無関係な人々を巻き込むことはない!! ……どうして、初めから言わなかった」


「…………は?」


 アキトの目が点になる。

 グルゥが何を言っているのか、まるで理解できないという様子だ。


「初めから目的を話してくれていれば、君に協力出来たかもしれなかった。魔人の子供は純度の高いフォルを内包しているそうだが、わざわざ他人を犠牲にしなくても、フォルを集めることは出来る。……初めから大人を頼ってくれれば、こんなことには……!!」


「……マジかよ、おっさん。俺のために泣いてんのか? 嘘だろ? なぁ?」


 ずずずっと鼻を啜るグルゥを見て、アキトは信じられないと首を左右に振った。


「やめろよ、そういうの。迷惑なんだよ。俺にとって大人ってのは、優しさをチラつかせて、期待させるだけ期待させて、結局最後は人を裏切るような、そんな生き物だ。俺は誰に頼ることもしねぇ。子供だけで、このゲームを勝ち抜いていく」


「私は君を裏切るようなことはしない!! ……今からでも遅くはない、思い直すんだ」


 アキトは混乱しているようだった。

 両手で頭を抱え、ああああああと意味不明な叫び声をあげて、膝をつく。


「うるさいうるさいうるさいッ!! 俺だって……そんなことくらい分かってるんだよ……俺のやり方が、間違ってることくらい……ッ!!」


 傷ついたアキトの心を癒すように、グルゥはその肩を力強く抱いた。


「大丈夫、だ。もう戦わなくていい。これからは周りと協力して……課せられた宿命を、共に乗り越えようじゃないか」


 自らの意思を示すように、半分魔獣化していたグルゥの体が、人間の姿へと戻っていった。

 それを見て、アキトはグルゥの胸に縋りつくように抱きつく。

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