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24.復讐とおっさん―6

 アキトは俯いたまま、それ以上何も答えようとしなかった。


 いったい、アキトが何を考えているのかは分からない。

 だがそれでも――グルゥは一縷の望みをかけて、“説得”を続けた。


「お前のしたことは、決して許されることではない。だがお前にも、やらなければ自らが死ぬという制約があったのだろう。……なあ、一度考え直してみないか。このままじゃ、お前らは延々と無益な続けるだけ――いや、強制させられているだけなんだ。そんな下らない行いを続けるよりも、お前たちを縛っている、ゲームマスターとやらを倒した方が良いと……そう思わないか?」


 妻を殺し、娘を連れ去ったアキトを、グルゥは決して許さない。

 許さないが――憎しみをぶつけ続けたところでこの問題は解決しないと、グルゥはそう理解していた。


 アキトを殺すような方法では、第二、第三の異世界勇者が、同じように現れるだけだと。

 であれば――彼らに殺しを強いる、黒幕を倒すしか方法はない。


 そこまで考えての、グルゥの説得だったのだ。


「……なんだよ、もう全部バレてんジャン」


 強い風が吹いて、カランと高い音が屋上に鳴り響いた。


 アキトが剣を落とした音だ。

 その姿を見て、グルゥは内心、ホッと胸を撫で下ろす。


「そうだよ。おっさんの言う通りだ。俺達は殺し合うことでしか、この世界で生きられない。勇者戦争の勝利条件は、『規定のフォルの量に達成するまでに、最もフォルを稼ぐこと』。……要はこれって、他の勇者をさっさと殺しちまえば、あとはのんびりフォル稼ぎをしてりゃいいってことだ。だけど……俺には、他に二人の仲間が居る」


 アキトの独白は続いた。

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