24.復讐とおっさん―5
「……なにィ?」
心底意外そうな顔をして、アキトは自分が聞き間違えでもしていないか、確かめているようだった。
「戦う必要はないって、そう言ったのかよ? なんでだよッ!? このガキを助けたくないのか? コイツは今から処刑されちまうんだぞッ!? なんだったら、お前にヤる気を出させるために今すぐ処刑してもいいッ!!」
「お前の師から、全てを聞いたんだっ! ……異世界勇者に課せられたその宿命、そして、何故お前たちが戦うのかを」
グルゥが回復するまでの間――同じように瀕死になっていたケンロウを、サリエラは仕方なく手当てしていたのである。
もちろん、それは単なる人助けなどではなく、代わりに情報を渡すよう、要求するためであった。
「……はーん。マジで使えねーな、あの先生。今度会ったらフルボッコだわ」
「お前達、異世界勇者は、ゲームマスターによってこちらの世界に呼び出され、ポイントを稼がねばならないそうだな。ポイントとはつまり、魔人の子供のことだ。そして最も高いポイントを獲得した者のみに、願いが叶えられる権利が与えられ、元の世界に帰ることが出来る」
「……まあ、おおよそ合ってるけど、それを知ってどうするつもりだ? 言っておくが、俺は先生みたいに敗北者となって、こっちの世界でチンタラ負け犬として暮らすつもりはねー。だから勇者として、邪魔者は全て排除するんだ」
アキトの顔に憎しみにが浮かぶ。
グルゥに目的を悟られたことが、不愉快極まりないと、そういう表情だ。
「そしてもう一つ……肝心なことがある」
グルゥの話には、まだ続きがあった。
「異世界から来た人間は――定期的にフォルを摂取しないと、その心身を維持することが出来ず朽ち果ててしまう。稼いだポイントの見返りとして、お前らはゲームマスターよりフォルの結晶を受け取っているんだ」




