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24.復讐とおっさん―1

 時刻は既に十一時四十五分を回っていた。


 サグレスの空に、多くのバルーン船が飛んでいる。

 それらは全て、“トリカゴを襲った魔人の公開処刑”というセンセーショナルな内容を撮るために出ている、撮影用の船だった。


「本当に来るんスかね?」


 その内の一隻に、大きなカメラを肩に担ぐ男がいた。

 坊主頭のその男は大汗を掻きながら、首にかけたタオルで忙しなく顔を拭いている。


「さあね。でも、あの異世界勇者が言い出したことなんだから。来なかったら向こうに責任を取ってもらうまでよ」


 対して、答えたのは赤いドレスを身に纏った女である。


 カメラマンとキャスター。

 サグレスの公営ではなく、民間の放送会社に勤める二人にとって、大事なのはいかにキャッチーで視聴者が食いつく内容を撮れるか――そういう信条で、バルーン船に乗り込み撮影を開始したのだ。


「まあ、あの魔人のちびっ子に関しては、きちんと処刑をするみたいだし。最低限それだけでもある程度の撮れ高にはなるわ」


「しかし、本当に殺すつもりなんスかね。あんな小さい子なのに、視聴者から反感を得ません?」


 無数の明かりにて装飾されたサグレスの夜景。

 その中でも一際目立つようにライトアップされたサグレスタワーの屋上に、キットはいた。


 急遽作ったことが丸分かりの、無骨な鉄材を組み合わせただけの十字架。

 そこに縛られ、磔にされたキットはうな垂れたままその時が来るのを待っている。


「……おせェ」


 その前で、腕を組んだアキトは苛立ったように爪先を上下に動かしていた。

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