表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/984

3.賊・孤児とおっさん―7

「私は……怒っているんだ」


 静かな口調だが、確かに怒りを――『憤怒』を感じさせる、グルゥの震え声。


「だ……だから、なんだよ。こっちだって、とっくにキレてんだ――」


「早く……逃げた方がいい。これ以上、私の怒りに触れたくないのなら」


「だから、なんだってんだよ!? 今さら、そんな脅しが通用するわけねーだろーが、経理のおっさんがッ!!」


 ついに若者の一人が、グルゥの言葉に痺れを切らし、剣を携え斬りかかっていった。

 それが、『憤怒』の時間の始まりだった。


「私は……ぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァアアアアアアアッ!! 怒ってッ!! いるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアア!!」


 怒り方が分からない子供が、自身の感情を持て余して地団太を踏むように。

 グルゥのあげた行き場のない咆哮は、森の木々を――そして大地を揺るがすほどの、大きな衝撃派となる。


「う、うわ、なんだコイツ――」


 その勢いに足を止めた若者だが、次の瞬間には、牙を剥き出しにしたグルゥが目前に迫っていた。


「は――?」


 なんてことはない。

 猪突猛進に走り出したグルゥによる、単なる体当たりである。


 それでも、直撃を受けた若者はそのベクトルに十メートル以上は吹き飛び、細い木に衝突し、その木をへし折って更に二十メートルは後ろに飛び、障害物を打ち砕く肉の弾丸となって、見えないところまで飛んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ