表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/984

23.タイムリミットとおっさん―5

「そ、そんな……! 頼むよケンロウ、親父を助けてくれよっ!!」


 キットは涙目になり、ケンロウに縋る。

 ケンロウはその様子を、実に気持ち良さそうに、ぷかぷかと煙草を吸いながら見ていた。


「何が……目的なんだ?」


 脂汗をだらだらと流しながら、グルゥはケンロウに尋ねた。


「お前の命。…………には、正直別に興味ねぇんだ。俺自身には、お前を殺せなんて命令は下りてねーしな。俺みたいな雇われのサラリーマンに、公爵様がわざわざ懸賞金を払うとも思えねーし。俺がお前を殺したら、アキトから文句を言われちまう」


 そう言って、一人で笑うケンロウ。


「じゃ、じゃあ親父を助けてくれるのか? 命を取らないっていうのなら――」


「ああ、大丈夫だ。そんな不安そうな顔をすんなよ、キット」


 そう言って、ケンロウはフードの上からキットの頭に手を当てた。

 それを見た瞬簡に、グルゥは自身の心臓の鼓動が早くなるのを感じる。


「だからな……俺の娘になれ」


 ケンロウの言葉を聞いた瞬間に、グルゥ、そしてキットは、言葉も出せないほどの衝撃を受けた。


「…………え……?」


「正直に言えばな、キット。俺は相当、お前のことを高く買ってたんだぜ? 手先の器用さや俊敏性、お前にゃあ盗賊としての素質があった。年の割にはリーダーシップもあったし、将来的にはウチの組織の幹部になると思ってたんだ」


 キットの体をくるっと反転させたケンロウは、その細身を抱えるように後ろから手を回す。

 キットは放心状態で、されるがままケンロウに捕まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ