23.タイムリミットとおっさん―2
(ダ、ダメですお父様。私一人では、この子の面倒を見切れません)
ミノンは店員に案内されて、ウインドウにディスプレイされている様々な機械の説明を熱心に聞いていた。
店員もミノンの食いつきが嬉しいようで、話はなかなか終わりそうにない。
(しかし、本当によく発展している街ですね。下手をしたら、王国よりも……?)
この店ではフォルを動力にする、様々な機械を売っているようだった。
その中には映像を映し出すモニターも置いてあり、流れる映像の中にブランの姿を見つけ、サリエラはブッと吹き出してしまう。
(こ、こんなところにも来ていたのですね、お兄様。しかし、いったい何のために)
流れるニュースの中では、アルゴ公との会談を行ったと報じられていたが。
それだけのために、わざわざここまで来ないだろうと、サリエラは考え込んだ。
「むー、なんかむずかしい話ばかりでつまんないねー」
「ああ、それならチャンネルを変えましょうか。このモニターは、フォルの波長を受信して映像を映し出していて、きっとバルーン船からの映像なども見れるはずです」
「ええー! 見てみたいよぉ、それっ!」
そう言って、ミノンが指をパチンと鳴らした瞬間。
ブランとアルゴ公の会談の様子を映していた十台近くのモニターが、一斉にてんでばらばらの映像を映し始めた。
様々な音声と映像が同時に流れ始め、店先が一気に混沌とした空間になる。
「あ、あれっ!? 急にフォルの波長が乱れちゃったのかな!?」
店員は驚いて直そうとしたが、ミノンはその様子を見てケラケラと笑っていた。
(まさかこの子……?)
サリエラが何かに気付いた、その時だった。
「騒々しいな」
一人の長身の男が、店先で足を止める。




