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22.親父とおっさん―6

「と、とにかく頼む。命だけは助けてくれ! 私に出来ることなら何でもするから――」


「ふむ。それなら単刀直入に聞こう。……異世界勇者が捕まえてきた魔人の子供は、何処に連れて行かれるのだ。それさえ教えてもらえれば、言いたいことは山のようにあるものの……ひとまず、自由は保障してやる」


「ま、待て。魔人? 子供? 何の話だ。私に分からない言葉を使うな」


 慌てた様子で答えるアルゴ公。

 それを聞いて、キットは禿げ頭を掴んで凄んでやった。


「おい、この期に及んでしらばっくれるなよ!? もしもそんなすっとぼけた回答を繰り返すなら――」


「やめろ、キット。手荒な真似はしたくない。それにこの反応……どうにも私には、彼が嘘をついているとも思えない」


 アルゴ公はおどおどして、辺りを窺うようにしきりに目を動かしていた。


「ああ、最悪だ……せっかく白騎士の監査を乗り越え、その疲れを癒すために行きつけの店に行っていたのに。今日は厄日なのかっ」


「だから、どういうことなんだ。何故、何も知らないと言い張るのか。その理由を教えてくれ」


「理由? んなの簡単だろ。……ソイツが、本当の公爵様じゃねぇからだよ」


 その男の声は、グルゥの背後から聞こえてきた。


「おおっ!! 遅いぞケンロウ、私の護衛を放り出してどこに行っていたのだ!?」


 喜びで、パァッと表情を明るくするアルゴ公。


 振り返ると、そこにはグルゥと同じくらいの年に見える人間が立っていた。


 無精髭を生やしており、口に咥えた煙草からはぷかぷかと煙が浮かんでいる。

 そして何より目を引いたのが、左目についた大きな傷だった。


 対峙した一瞬で、グルゥは直感する。

 この男、只者ではないと。


「親……父……?」


 男の姿を見て、キットは放心状態になりながら、その言葉を投げ掛けていた。

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