22.親父とおっさん―5
簀巻きにしていたアルゴ公を地面に降ろし、その顔を布の中から出してやる。
ようやく外の空気を吸えたアルゴ公は、大きく咳き込んだ後に、グルゥを見て大声で騒ぎ始めた。
「な、な、何をするんだいきなり!? 金か? 金が目的なのか!?」
「違う。金など必要ないし、私はお前に危害を加えるつもりもない」
「じゃ、じゃあ何でこんなことを……」
「だから言っただろう、話がしたいと。それで、落ち着いて話が出来るところまでお前を連れて来た。それだけだ」
グルゥはアルゴ公の目をじっと見据えて、努めて落ち着いた声で話しかけた。
本来であれば、この場で殴り飛ばしても問題ないようなことを行っている男なのだが――
「まさかお前、魔人なのか」
ハッとしたように、アルゴ公はその言葉を口走る。
「どうして、分かった」
「もうすぐ、魔人の方から襲撃が来るかもしれないと言っていたんだ。あの異世界勇者が。私は相手にしなかったが……まさか、本当にここまでやって来るとは」
「やはりお前は、アキトと繋がっているのだな」
「アキト? ……そういう名前だったのか、アイツは」
アルゴ公のリアクションに、妙な違和感を覚えるグルゥ。
名前すら知らなかった? 公爵ともあろう者が?




