表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/984

21.お父様とおっさん―10

「なぁ、最新の符丁は分かってるか?」


「……はぁ? 俺はスラムの人間だ。“抜け道”を使うために、当然分かってるに決まってるだろ。……って、まさか――」


 驚いたように顔をあげた男に対して、キットは大きく頷いた。


「分かったろ? 親父。オレなら、サグレスに入る抜け道の使い方を知っている。そして、サグレスの内部に詳しいのもこの中ではオレだけだ」


「ま、待て待て待て! まさかお前達……サグレスに入り込もうというのか!? 手配までされているのに!?」


「だけど、お前が言ったじゃんか。“顔はまだ知られていない”んだろ? 逆に言えば、今を逃せば、もうこのチャンスはやって来ないかもしれない」


 キットはサグレスに乗り込むつもりのようだが――サリエラはどうする? ミノンは?


 二人のことを思うと、グルゥはすぐに答えを出せないでいた。

 いっそ二人とは別れ、もう一度キットとの二人旅に戻って、サグレスに向かうべきではないかと。


「何の話かは知りませんが。この期に及んで、私を仲間外れにするのはやめてくださいね?」


 いつから話を聞いていたのか、サリエラもミノンの手を引いて部屋まで戻ってきた。


「そもそも、トリカゴで騒ぎを起こしたのはお父様も私も同じですから。ここで突き放す方が、よほど危険で酷いことじゃないですか?」


「うっ……それもそうだな。ミノンはともかく、サリエラは思い切り私と共に居るところを見られている」


 そこまで話したところで、グルゥは意を決し、力強く立ち上がった。


「私から、改めて頼んでいいか。サグレスに向かい、アルゴ公から直接話を聞く機会を作る。その、手伝いを」


 力強く頷く、三人の子供たち。

 グルゥの決定に異を唱える者は、誰もいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ