21.お父様とおっさん―3
(あんな下品な言葉を連呼していたからな)
乳首でスイッチがオンになってしまうサリエラなのだ。
キットからあんな話を聞かされたら、悶々として堪らなくなるだろう。
グルゥは三人の子供の保護者として、夜這いを仕掛けて来るサリエラの姿を他の二人に見せたくなかったため、わざわざ部屋を別にしたのだった。
「とりあえず、今日のところはさっさと眠ってもらうぞ」
「分かりました、お父様。ところで、あそこに見えるものは何です?」
サリエラが顎で指し示した先を見ると、そこには姿見の鏡が置いてあった。
「あ」
鏡越しにサリエラの目が怪しく光る。
その瞬間に、グルゥの体は金縛りにあったように動かなくなった。
(しまったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?)
まさか鏡を通してでも“魅了”の魔法が使えるとは。
ベッドの前で棒立ちになったグルゥの手から抜け出したサリエラは、中腰になって改めてグルゥと目を合わせる。
その魔力に魅入られたグルゥは、いよいよ自身の体も、だんだん熱くなっていくのを感じた。
「や、やめろサリエラ……」
「サリエラなんて、かしこまった名前で呼ばないでください。“サリィ”でいいです」
耳元で、吐息を吹きかけるようにサリエラは囁く。
全身に鳥肌が立って、眩暈がするほどの体の疼きがグルゥを襲った。




