20.パパとおっさん―6
(まあ結局、裸にはなるのだが……)
キットとサリエラには遠くで水浴びをするよう命令し、グルゥはミノンと、男同士水入らずで川に入っていた。
タオルでミノンの体をゴシゴシ洗ってやると、ミノンはくすぐったそうに体を震わせている。
「あ、す、すまん。少し、強かったか?」
「ううん。だいじょうぶ。気持ちいいよ、ありがとうパパ」
ジーン、と胸が熱くなるのを感じるグルゥ。
娘より息子の方が余計な気を遣わなくて良いと、そんなことを発見していた。
「なぁ、せっかくだから色々聞いておきたいんだが。ミノンは何歳なんだい?」
「分からないなぁ」
「出身は?」
「うーん、分からないよ」
「名字は?」
「ボクはミノン、それしか分からない」
全て首を左右に振って答えるミノンに、グルゥはタオルを動かす手を止める。
(か、可愛い……!)
途中から回答の内容はどうでも良くなっていた。
ただ首をふるふるするミノンが愛くるしいのだ。
(って、そういえばこの子、母親と死に別れたヘビーな過去があるんだよな。そのショックで何も分からなくなってしまったのか?)
ふと我に返って、あまりのミノンの分かってなさを不安に思うグルゥ。
だが、そんなグルゥを上目遣いに見るミノンと目を合わせていると、多少の不安はすぐに飛んでいってしまうのだった。




