表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/984

###謁見にて###―1

 手足を縄で縛られ、口には布を詰め込まれた少女。

 その頭には猫のような耳がついており、ズボンに開けられた専用の穴からは、黒い尻尾が突き出ていた。


 だが少女の感情を表すように、萎びた尻尾は垂れ下がり、耳もぺたりと垂れている。

 脅える目にこんもりと溜まった涙は、今にも零れ落ちそうだった。


「ほらよ。これが今回の戦利品だぜ」


 アキトは首輪を引っ張って、その『マモン』の少女を前に差し出す。

 黒革のソファーの上には、一人の男が足を組んで座っていた。


「うむ、よくやった。すぐに王国へと回し、“ポイント”に換算するよう手配しよう」


 ダストン・アルゴ公爵。

 ジルヴァニア王国を形成する公国の一つである、アルゴ公国を支配する権力者である。


 ダストンには、他国へはフォルの輸出や貿易政策で良い顔をする一方、自国の人間、特に金を持たない貧しい人々は奴隷のように扱うなど、表と裏の顔に乖離があるという評判があった。


「さっさと回してくれよ。でないと俺、なかなかレベルアップ出来ないんだわ」


「当たり前だろう。異世界勇者の活躍は、今や国の躍進に欠かせないものとなっている。君がこの“勇者戦争”で勝ってくれれば、この国の将来も安泰というわけだ」


 そう言って、静かにほくそ笑むダストン。

 その黒い笑みに、アキトは内心反吐が出そうな思いだった。


(なーにカマトトぶってんだよ。お前の真の目的は“王国”、その奪取だろ)


 だが、もしもそれを達成出来れば、いよいよこの世界も自分のものになると――アキト自身も、ダストンの野望に対してはやぶさかではなかった。


「他国の勇者の様子はどうなってる」


「心配するな、ポイントではダントツで君がリードをしているよ。君のような勇者に当たることが出来て、私も鼻が高いよ」


 そうかい、とアキトはその言葉については話半分で受け取っておくことにした。


「ところで、君に特別に頼みたいことがあるんだが――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ