表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/984

3.賊・孤児とおっさん―3

「……へっ、手間取らせやがって」

「おっ、まだ息してんぜ、こいつ。ゴキブリ並みの生命力だな」


 動かなくなったグルゥに対し、若者達はそれ以上攻撃を加えることはなかった。

 今は生きていたとしても、巨漢に踏みつけられて立ち上がったものなど、今まで誰一人もいなかったのだから。


「おい、キットのお仕置きは後回しだ。さっさとここから離れた方が良い気がする」

「そだな……おいデブ、キットを捕まえてさっさと荷車にぶち込め。面倒なことは後回しだ」


 キットは戦慄していた。


 頼みの綱であったグルゥはついに力尽き、自分のせいで、頼りにしていた大人を失うことになったのだと。

 もう、どうすればいいのか分からなかった。


 このまま黙って、大人たちに捕まりお仕置きを受け、もとの生活に戻るのか。

 それとも、全てを捨て去って、無様にこの場から逃げ出せばいいのか。


 だが……ここから一人で逃げ出したところでどうなる?


 今まで、大人の言いなりになることでしか生きてこれなかったキットに、そこから先の展望を思い浮かべることは不可能だった。


「逃げ……て」


 その言葉は、キットのものでも、グルゥのものでもなく。


「逃げて、キット兄ちゃんっ!!」


 荷車の中にいた、子供の一人の言葉だった。

 先程、キットが身を挺してグルゥから逃がしてやった、四人のうちの一人だ。


 その顔は赤く腫れ、お仕置きを受けた後なのだと分かるが、その目は、キットのことを思う力強い意思が浮かんでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ