19.大脱走とおっさん―11
「ふわぁーっ! よく寝たぁ」
木箱の方から勝手に開いて、中からは緑色の髪の子供が出て来る。
「ミ、ミノン!?」
全員の声が揃っていた。
名前を呼ばれたミノンは、寝ぼけ眼の目を擦りながら、ぱちくりと何度もまばたきをしている。
「あれ? パパ……と、その愉快な仲間たち?」
「その他大勢みたいな言い方はやめてくれません!?」
「うーん、なんでこんなところに居るんだろう、ボクは……。まあ、いいか」
そう言って、ミノンは再び木箱の中に戻ろうとする。
「って、ちょっと待ちなさい!」
グルゥは慌ててミノンの両脇を掴むと、木箱の中から引っ張りだした。
まるで高い高いをされているようで、ミノンは無邪気に笑って現状を楽しんでいる。
「え……親父、どうするつもりなんだ? ミノンを」
「まさかその子まで、旅に同行させるつもりじゃないでしょうね?」
「え、っていうか、お前も付いて来るつもりなのか?」
「そういうあなたこそ、お父様にいつまでくっついているつもりなの!?」
再び勃発する、キットとサリエラの言い争い。
ミノンは手を叩いて、二人のやり取りを面白がっていた。
(本当に何なんだ、この状況……!?)
それぞれと合流出来たのはいいが、どうもこのパーティ、まとまる様子が一つもない。
まとめ役は自分だと当然グルゥは理解していたが、降って湧いたような三児の父役に、これからのことを考えると気分はブルーになるのだった。
第4章 迷子とおっさん ―完―




