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19.大脱走とおっさん―1

「離れていてくれ、キット」


「で、でも親父には、まだオレがつけた傷が――」


「『憤怒』の力を解放する。そうすれば……内臓に達した程度のかすり傷、何ともなく治ってしまう」


 またムチャクチャなことを言っていると、顔をしかめるキット。


 『憤怒』のボルテージは十分最高潮に達していた。

 そうしてグルゥが力を解放しようとした、その時だ。


「待て待て待てぇぇぇぇぇい!!」


 どこからともなく聞こえてくる、聞き慣れた声。

 よくよく見ると、四つん這いになったビルブーの背中に、見覚えのあるイモムシが一匹乗っかっていた。


「ミルププ!? お前、オレを置いてどこに行ってたんだよ!?」


「そりゃあこっちのセリフだっつーの!! 大冒険の末に鍵を奪って戻ってきてみりゃ、お前牢屋を変えられてんじゃねーか!! せめて俺様の帰還を待ってから騒ぎを起こせよ!!」


 申し訳なかったと、素直にしゅんとするキット。


「んで、バレないよう鍵を返そうとしたらこの豚に見つかるし!! 世界の半分をお前にやろう、とか言って面白イモムシのフリして取り入ってたんだ!! ふざけんなこの屈辱!!」


「わ、分かった。お前の苦労話は後でゆっくり聞いてやる、ミルププ」


 どうにも調子が狂うと、グルゥはひとまずミルププの愚痴を止めさせる。

 もちろん、その間にビルブーが待っているはずもなく、巨体を生かし猛然とした勢いでグルゥに体当たりを仕掛けてきた。

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