18.再会とおっさん―5
「あ…………あ…………」
信じられなかった。
まさか自分の手で、グルゥを殺めてしまうとは。
「うそ……お父様……っ!?」
サリエラも言葉を失って、その場にへたり込む。
グルゥの分厚い胸板は、上下に動くことを止め、呼吸も鼓動も、既に止まっていることが見て取れた。
「はは……がーっはっはっはっは!! よくやったぞ、ガキめ! 正直、『サタン』の血統の力が発現したらどうしようと、ちぃーっとばかし恐れておったが、お前に任せたのは大正解だったようだな!!」
それまで傍観に徹していたビルブーが、グルゥが完全に動かなくなったのを確認して、よっこらせと重い腰をあげる。
「おまけに、お楽しみが二倍に増えたと来ておる。そこの父親に見せ付けられなかったのはちと残念だが……まあ良い、ワシの絶倫っぷりをお前らにとくと教えてやろう!!」
「最低のクズ……消えろッ!!」
サリエラは氷の刃をビルブーに向けて放ったが、それは分厚い腹の脂肪に弾かれてしまった。
「な……!?」
「おおっと、そういえば言ってなかったな。何故、この場所でお前らを待ち構えていたのか。それはワシが――」
サリエラの足元の地面が盛り上がる。
一瞬、反応が遅れたところに、隆起した地面による一撃がサリエラの体を高くかち上げた。
「フォルの力でパワーアップする、魔法使いでもあるからだよ」
落下したサリエラは頭を強く打ち、そのまま気を失う。
ビルブーの手は土肌に添えられており、魔法により地面を操ったのだった。




