表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/984

17.脱走とおっさん―4

 そして鉄の扉を開けようとした、その直前だった。


「あっ」


 ふと思い立ったように顔を上げたミノンは、自主的にグルゥの腕から降りる。


「ボクはダメだ」


「ん? ダメって……どういう意味だ?」


 困ったような顔をして、ミノンはポリポリと頭を掻いている。


「仕事の時以外はここに入っちゃダメだって、そう言われてたんだよ」


「そうなのか。だが、今は非常時だ、私と一緒に居た方がいい」


 そう言って差し出されたグルゥの手を――ミノンはついに、取らなかった。


「そうじゃないんだ。きっと、ボクが行くと良くないことが起こる」


「良くないこと……?」


「うん。それはボクにとっても、パパにとっても。だからボクは、ここでお別れをすることにしたよ」


 そう言うとミノンは、名残惜しそうにしながらも、下りたばかりの螺旋階段を駆け上がっていった。


「バイバイ、パパ! 楽しかったよ」


 呆気に取られたまま、去り行くミノンを見送るグルゥ。

 その様子を、サリエラはジッと横目で睨みつけている。


「パパって、どういうことですか? ……隠し子?」


「そ、そんなわけないだろう!? こっちが聞きたいくらいだ、どうして私に懐いているのかっ!」


 ほんの少しの間だったが、ミノンとの交流は、グルゥにとっても不思議な感覚の残るやり取りだった。

 そして何故だか――また何処かで会うことになるだろうと、そんな予感もしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ