16.迷子とおっさん―2
まさか、ミノンに止められるとは思ってもいなかったのだろう。
「あ!? え、えーとミノン様、これはちょっとした遊びで――」
「遊びでも、人の嫌がることはやっちゃダメだよ。だって、ボクには分かるんだ。この子が今、どんな気持ちでいたのか」
余計なことをしやがって、とビルブーはキットを睨みつけた。
しかし、それを聞いてキットは混乱する。
(今の一瞬で、オレの顔色を読んだっていうのか? それにボクって、コイツ、こんな可愛い顔をして男だったのかよ!? っていうか、ミノン様って!? なんで様付けなわけ、え!? え!?)
もの凄い量の疑問を浮かべるキット。
すると、それを見てミノンはきゃっきゃと笑っている。
「ボクはね、ここで働くのは楽しいよ。だってボクの活躍で、多くの人が使う資源が取れるっていうんだもん。でもね、みんながつまらなそうだと、ボクもつまらなくなっちゃうんだ」
「は、はい、ミノン様。その点については、至急、改善させて頂きます」
まるで王様のような扱いを受けているミノンに、キットは呆気に取られる。
「……何を呆けた顔をしちょる。ほら、そろそろ目的の最下層に辿り着くぞ」
ビルブーは苦虫を噛み潰したような顔をして、螺旋階段の到達した先、大きな鉄の扉を両手で押した。
そこに開かれた光景を目の当たりにし、キットは言葉を失って立ち尽くす。




