表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/984

16.迷子とおっさん―1

 どこまでも下に続いていく螺旋階段。

 薄暗い闇の中、キットとその子供は、ビルブーに連れられ延々と階段を降りていた。


 子供は、キットに対し自身のことを“ミノン”と名乗った。

 淡い、柔らかそうな緑の髪は短く刈られていて、トリカゴの規則でそうなのか、元からそういう髪型なのかは分からない。


 キットが驚いたのは、ミノンには一切の枷が付けられておらず、暴行を受けた後もない。

 つまり特別扱いを受けているのだと、そう分かったからだ。


「この子はな、能のないお前らとは違うんだよ」


 階段を下りる側ら、暇を持て余したのかビルブーはそう話し始める。


「最下層に降りても何らフォルの影響を受けることがない、特別な子供なんだ。お前らがツルハシで何時間もかけて掘るフォルの量を、この子はたった五分で採取する」


 ビルブーの言葉を聞いて、ミノンは無邪気な照れ笑いを浮かべた。

 恐らくは、自分よりも年下の幼いミノンの働きぶりに、キットは驚きを隠し切れない。


「つまり今日は、お前にも最下層の適性があるのか試そうって話だ。そこで十分に働けるなら、お前の待遇を見直してやってもいいんだぜ」


 そう言って、ビルブーは後ろからキットの尻を撫でた。

 全身に悪寒がはしり、思わずキットは声を荒げようとする。


 しかし――


「人の嫌がることは止めてね」


 それよりも早く。

 ミノンはビルブーの手を掴み、混じりっけのない純粋な笑顔を浮かべながら、あどけない声でそう言ったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ