15.続・トリカゴとおっさん―2
「まあ、あなたの訴えにも一理ある。この件は、王への報告程度に留めておきます。すぐに処置をしろという話ではない」
ブランの言葉に、ビルブーはホッとした表情を見せるが、その腸は煮えくり返っていた。
余計なことをすんじゃねぇボケッ!!
それが一番嫌なんじゃいッ!!
ワシの楽園が穢されたらどう責任取ってくれるんじゃッ!!
……が、王国の人間にそのような態度を取ることは出来ないので、にこやかな笑顔を取り繕う。
「感謝いたします」
「見たところあなたはドワーフのようだ。フォルに頼らず機械装置を作成することも可能だろう?」
「えへへ……確かに見た目はそうですが、中身はちぃーっとばかし違うんでさぁ」
ほう、と値踏みするようにブランはビルブーを観察した。
だが、その目はすぐに、汚いものでも見たかのようにモニターの方へと背けられる。
「それと、これは喫緊に対応して頂きたい課題なのだが」
「は、はいっ!?」
「もう少し、警備の人数を増やした方が良い。些か血の気の多い手合いを連れて来たのでな」
それはブランが、施設の見学と同時に連れて来た、本土で捕まえたという旅の二人組みのことである。
「もちろん、かかった費用は王国に“きっちり”請求するといい。これは私からの命令、だ」
それだけ言い残して、ブランはトリカゴを発つ為に監視ルームを後にする。
(妹を任せるとは言ったが――協力するとは言っていない。もしもこの程度で潰れるようであれば、その時は)
ブランの口元には、サディスティックな笑みが浮かんでいた。




