15.続・トリカゴとおっさん―1
多数のモニターが設置された“監視ルーム”。
まるで玉座のような豪華絢爛な椅子の上に、トリカゴの管理人、ビルブーは座っていた。
「ぐわっはっはっは。どうですかな? このようにして、労働者の生気を奪うことにより、抵抗する気を起こさせず、安心・安全な運営体制を構築しているのです」
ビルブーはそう言って足を組もうとしたが、大樹のように太いふくらはぎの筋肉と、でっぷりと出た腹が邪魔をし、組むことが出来ずに失敗する。
照れ隠しなのか、ビルブーは葉巻をもじゃもじゃの髭の中に隠れた口に咥えると、大きく煙を吐き出した。
「ふむ。……しかし、このモニターの動力はどこから調達しているのですか?」
「ええ!? そ、それは――」
「まさか施設で採取した“フォル”を、利用しているのではないでしょうね? それがあれば、もっと王国へ献上出来る量を増やせるのでは?」
ビルブーが会話している相手は、ブランだった。
ビルブーは内心舌打ちをする。
王国の人間が抜き打ちで施設を見学に来ると聞いて、相当焦ってはいたが、やはり難癖をつけて“フォル”を搾取するためにやって来たのかと。
貴重な資源である“フォル”は、当然アルゴ公国内でも利用をする。
それを多く王国に持っていかれては、わざわざトリカゴの運営を公国で行う必要性がなくなってしまうのだ。
「しかし、これだけ監視をしていないと、いつ暴動があるか分からんのですよ!」
必死に、その危険性を訴えるビルブー。
ブランは興味なさげにそれを聞いていたが――
「おや?」
モニターの中に一人の子供の姿を見つけると、その口元が僅かに緩んだ。




