13.家出少女とおっさん―8
「フフ、面白い……。あなたは本当にちょっかいの出し甲斐がある方ですね」
ブランにそう言われ、グルゥはムッとした表情で唇を尖らせた。
「お前のような小僧に、そう言う風に言われるとは心外だな」
「おや? いいのですか? そのような態度を取られると……本題を話す気を無くしてしまいます」
「本題、だと?」
サリエラのことが目的じゃなかったのか? とグルゥは困惑する。
しかし次にブランが告げた話は、グルゥの遥か想像の上を行く、重大な事項だった。
「テュルグナで暴れたとされる魔人についての続報ですが……その仲間と思われる一人の少年が、『トリカゴ』へと連行されたそうです。まあ、あなたには関係ない話でしたかね」
「な……なんだとッ!?」
まさか、ここに来てキットの情報が手に入るとは。
思いも寄らぬことを聞いて、グルゥは慌ててブランに追いすがった。
「どういうことだッ!! 連行されたとは!? 『トリカゴ』とは何なのだ!?」
「落ち着いてください。あなたはテュルグナの魔人とは関係がない……それは良いですね?」
立場上、本来であればグルゥに言ってはいけない事柄なのだろう。
だがグルゥは、そう前置きをしてから話そうとしてくれるブランに、今はただ感謝するだけだった。
感謝するだけ、のはずなのだが――
「…………何故、私の尻を触る」
「フフ。これくらいの見返り、あってもいいじゃありませんか」
なんか雲行きが怪しくなってきた。




