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2.続・孤児とおっさん―5

「よし、おっさん。まずは様子を窺おうぜ――」


「そこまでだ、お前たち!!」


 キットの提案をガン無視して、グルゥは即座に馬車の前に姿を現した。

 後ろでキットがガクリと肩を落としているが、その様子にグルゥが気がつくことはない。


「ん? なんだおっさん」

「っていうか、キットもいるじゃねぇか。なんだよ、熊みたいな大男に殺された、ってチビ共が騒いでたのに」


 荷車の中から姿を現したのは、二十代前半くらいに見える二人の青年である。

 その事実にも、グルゥは少なからず衝撃を受けていた。


 子供をこき使い、盗賊の真似事をさせるような“大人”だと聞いていたのだ。

 その正体は、もっと脂ぎったあくどい顔をした中年だと、そう思い込んでいた。


「あ、さてはアレかァ? キット!! お前、自分可愛さに俺たちを裏切ったんだなッ!?」

「おいおいマジかよ……そんな悪い子にはしっかりとお仕置きをしても、『トリカゴ』行きかもなぁ?」


 威圧的な態度でキットを脅す二人に対し、グルゥは吐き気を催すような嫌悪感を覚えた。


「お、おっさん、やっぱゴメン。オレ、こわい」


「いいんだ、キット。君は、私の後ろに隠れていなさい」


 キットはグルゥの巨体に身を隠すようにして、その腕にぎゅっとしがみついた。


 あれだけ勝ち気で生意気だったキットが、生気のない顔の若者二人を前にして、これだけ脅えているのだ。

 どれだけ酷い目に遭わされてきたのかと思うと、心が震えるほどの“怒り”が込み上げてきた。


「ダメだ、ここで怒っては……感情に流されては、いけな――」


 呪文のようにその言葉を唱えるグルゥだったが。

 突如、ゴツンと後頭部にもの凄い衝撃を食らい、正面から地面に突っ伏した。

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