13.家出少女とおっさん―2
「まあ、いいです。それで、約束の額は用意できたのですか? 出来ていなければ、私はその娘を連れて行きますよ」
ブランの言葉を聞いて、べーっと舌を出してみせるサリエラ。
カッツォとツンナは不安げに顔を見合わせていた。
「もちろん、用意はできている」
が、そのグルゥの言葉を聞いて、驚いてさらに不安げな表情になる。
「お、おいグルゥさん。本当に、そんなことを言って大丈夫か!?」
「ワシらだって、夕べどうしようかずっと考えておったんじゃ。夜通し聞いて回ったが、村中の人間の金を集めても税金の額にゃあ足らんかった」
だからあれだけ騒いでも助けに来てくれなかったのかと、グルゥは二日酔いで痛む頭を抱え込む。
「大丈夫だ、安心してくれ」
「では、その税額分の資金を……渡して頂きましょうか」
「ああ。それはもう既に……渡している」
グルゥの言葉に、他の一同は驚いたリアクションをした。
唯一ブランだけは、眉一つ動かさずにグルゥの話を聞いていたが。
「どういうことだよッ!?」
「それは貴様が一番よく分かっているだろう……公国の犬めッ!!」
そう言って、グルゥはこめかみに青筋を浮かべながら、のしのしと公国の男に近付いていった。
ひぇぇ、と逃げ出そうとした男の首根っこを掴むと、子猫でも扱うかのようにひょいと摘み上げる。




