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12.性教育とおっさん―4

 やばい。


 やばい。やばい。やばい。やばい。やばい。やばい。やばい。


 全く予想だにしていなかった展開に、グルゥは全身の毛穴という毛穴から汗が吹き出すのを感じ、必死に体を動かそうとする。


(嘘だろう?)


 しかしグルゥの力を持ってしても、手足はピクリとも動くことがなく、まるで、金縛りにでもあったようだった。


(そうか、これは夢……昼間からサリエラがヘンなことを言ってたから、ヘンな夢を見ているんだ)


 それにしては妙にリアルだと、グルゥは自分の上に座っているサリエラを見て、ドキドキしてしまった。

 呼吸をする度に分厚い胸板が上下し、サリエラも一緒に動いている。


(夢なわけあるか!! この現実感!!)


「ねぇ、いいでしょう……? 教えてください、お父様」


 サリエラの様子も少し変だ。

 昼間はあれだけアホな姿を見せていたのに、今のサリエラは妖艶な空気を身に纏い、一人前の女性のように色気のある表情を見せている。


(い、色気……? 馬鹿か私は、こんな少女相手に何を考えているんだ!!)


 サリエラは白くて細い人差し指を、自身の口に咥えてみせた。

 唾液をまぶした人差し指は糸を引き――その指で、すうっとグルゥの大胸筋のラインをなぞる。


「ぐおおおっ!?」


 その瞬間、グルゥは自身の胸に湧き上がった疼痛に身悶えした。

 ビクビクと跳ね回るグルゥを見て、サリエラは楽しげな笑みを浮かべている。

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