12.性教育とおっさん―3
いつの間にか、グルゥもまどろみの中に落ちていたようである。
サリエラを救う方法を考えていたはずなのに、腕の中のサリエラの温もりに、いつしか安らぎすらを感じていた。
うとうとと、グルゥが心地よい感覚に包まれていた時に。
その悲劇は、始まったのであった。
「お父様……ねぇ、お父様」
グルゥの耳元で囁かれる、甘い吐息。
呼ばれている……?
少しだけ意識が覚醒したが、まだ体はまどろみの中だ。
「聞きたいことがあるのです」
サリエラだ。
これはサリエラが、耳元で囁いているのだ。
今後のことについての話し合いかと思ったが、起き上がるためには、もう少し睡魔と戦う必要があった。
「ぐごぉ……なん、だぁ……?」
半分眠ったまま、気のない返事をするグルゥ。
「子供の作り方を……教えてください」
一瞬で吹き飛ぶ眠気。
飛び起きてサリエラを諭そうとしたが、体が動かない。
「な、な、な、なんだってェッ!?」
全く気が付いていなかったが、いつの間にか、四肢を縄のようなもので縛り付けられている感覚があった。
ベッドの上で大の字になったグルゥの上に、ネグリジェ姿のサリエラが、怪しく目を光らせながら腰掛けていた。




