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11.騎士とおっさん―4

 グルゥはギロリと、血走った目で男を睨みつけた。

 それだけでビビった男は、ヒィと情けない悲鳴をあげる。


「公国の税法について確認させてくれ。分納や物納の制度はないのか? それにこの徴収方法、そもそも税法を逸脱し違法となっている可能性だってある」


「ちょ、ちょちょちょ!? わけわかんねー単語を並べて騙そうとしてるんじゃねぇ! ちったぁ俺にも分かるように話しやがれ!!」


 男の言葉に、いつもは穏やかなグルゥではあるが、怒りを露わにして胸倉を掴んだ。


「それが、税を扱う国の人間の言葉かッ!? 貴様らが軽々しく奪っていく金は、民の血と汗が注ぎ込まれた、血税なのだぞッ!? 今すぐ学を深め、己の行いにどんな意味があるのか、見つめ直せッ!!」


 グルゥの極大の怒りに触れて、男だけでなく、カッツォとツンナも言葉を失い、固まっている。

 男はぷるぷると震えながら、人差し指でグルゥの顔を指差した。


「あ、あの……あんた、なんかその筋の人?」


「…………元・経理だ」


 ええええええええええええええ、と驚愕する男。

 カッツォもツンナも、ついでに隣の部屋に隠れているサリエラも同時に声をあげていた。


「絶対嘘だろ!?」


「本当だ!! そんな嘘をついて何になる!? とにかく、こんな徴収方法は納得できない、何か確固たる根拠を提示し、違法でないと示してくれ!!」


 そう言って、男を突き飛ばすグルゥ。

 尻餅をついた男は、恨みがましい目でグルゥを見上げた。


「チ……邪魔してくれやがって」


「何か言ったか?」


「いや。…………そういえば、物納じゃねーが、今のアルゴ公国には公爵に認められたれっきとした納税方法があるんだぜ?」


 そう言って、男はげへへ、と下卑た笑みを浮かべた。

 言ってみろ、とグルゥは顎で差し示す。


「それはな……“人納”だよ」

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