表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/984

2.続・孤児とおっさん―3

「ーーーーーっ!?!?!?!?!?」


 声にならない声をあげ、悶絶するグルゥ。

 その間にも、キットの舌はベロベロとグルゥの腹を舐め続けている。


「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待て!! お前はいったい何をしているんだ!?」


「え、だから……怪我の手当てだよ。傷が付いたら、とりあえず舐めるだろ、ふつー」


 やっとの思いでキットを引き剥がしたグルゥは、顔を真っ赤にしてキットに言い聞かせた。


「確かに、唾でもつけておけば治る、なんて言葉は存在するが! それはダメだ! 絶対にダメだ!!」


「ダメって……なんでだよ? 仲間の怪我にだって、オレはこうしてきたんだぜ?」


「百歩譲って子供同士ならまだ良い!! だが私とはダメだ!! なんかこう、色々と問題がある気がする!!」


 グルゥの気持ちは伝わらないようで、キットは首を傾げるだけである。


「しかしおっさん、毛むくじゃらだな。なんかヘンな感じだったぜ」


「そ、それは血統……というか体質なんだ、仕方ないだろう。気持ち悪かったらすまない」


「んーん。オレ、おっさんみたいな髭好きだぜ。なんか親近感が湧くっていうか」


 そう言って、キットはグルゥの顔の周りに生えた、ライオンの鬣のような固い髭を掴みわしゃわしゃした。

 グルゥはされるがままになりながらも、親近感、という言葉に怪訝な顔をする。


(ひょっとして、この子のお父さんも髭のある御仁だったのだろうか?)


 そう思うと、キットを無碍に引き剥がすことも出来ず、グルゥは少しずれたキットの感性に翻弄されっぱなしなのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ