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酔いどれ腐れ  作者: フロード【fload】
第壱章〜潜入捜査〜
16/59

ドレスの秘密

 ほえぇぇ……


「待ったー?」

「うわっ」

「えっ」


 急に背後から出てこないでくれる? すごーくビックリしたんだけど。


「ていうか、真っ白だね。この部屋」


 壁も床に敷いてるもふもふのラグも、シーツも布団も枕も、テーブルも椅子も。全部新品未使用かのように真っ白だ。本当に普段使ってるの? ここ。


「白……というか、白銀って言って欲しかったな……」

「いや、白だろ。真っ白。汚れが何一つない感じ」

「ま、ここまで白いのはどうかと思ったんだけどな…異物があればすぐ見つかるから効率がいい」

「まぁね。危機感ゼロのボスには丁度いいのかも」

「危機感ゼロはいいすぎじゃね?! 傷ついたよ!」

「知るか」

「えー。ま、いいや。はいお茶」

「あんがと」


 てかまた白かよ。目が痛い。金に縁取られた白の中に赤茶が揺れる。金と白、素朴な木の色。それだけの部屋。そう。それだけ。まるで真っ赤なボクが、ぽつんと知らない所に迷い込んだみたいだ。


 ……1人、ぼっちで。


 ふと力が抜けた手の中から零れ落ちた白が、赤が、ゆっくりと弧を描きそして


ガシャン。


「……!? ど……た? ……い! かお……ん! 香!」

「……ん? ……あ」


真っ白なラグに赤が染み込む。瞬く間に白が消えた。


「……ごめ、ボク、ぼーっとしてて」

「ラグはいいんだ。お前もしかして()()()()()()、思い出して……」

「ごめんってば、それよりドレスは? なにするの?」


 ボクは何も思い出していない。わからない。1人が怖い? んなわけない。だって戦闘では1人じゃないか。蓮が困ったように眉尻を少し下げ唇を固くひき結び、少し俯く。


「……あぁ。悪い、変な事聞いたな。それでドレスなんだが……」


 顔をあげた蓮は何事も無かったように、以前と同じ不敵な笑みを浮かべていた。


 ドレスの仕掛けは沢山あった。思ったよりずっと。

 例えばスカートのリボンには、ピストルケースがあること。ペンダントにマイクがついてること。胸元には鞘付きナイフが埋め込まれ、スカートは着脱式。それを隠したリボンにはピアノ線を編んでおり、丈夫だ。他にもたくさんある。

 1番重要なのはこの仮面だ。白に金の装飾がついた、シンプルな仮面。よく貴族が仮面パーティかなんかで付けてそうな顔の上半分を隠すようなデザイン。なんと通信機、カメラ付きで潜入捜査の(かなめ)だ。


 髪を伸ばすのは気が向かないけど、まぁ綺麗で豪奢なドレスもらっちゃったし、やるしかないか。

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