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龍の国JIPANG ~剣の巫女~1

龍の国JIPANG ~剣の巫女~


<登場人物>


朱花シュカ 

 16歳。火の部族長の娘。真紅の髪と碧の瞳を持つ少女。普通の高校生だったが、爆発によるビル火災に遭い、気が付くと、異世界の少女の身体へ乗り移っていた。火の龍との契約により身体が燃えない。星読みたちの予言によって、「剣の巫女」として選ばれ、皇帝の後継者争いへ巻き込まれていく。


ハク

 20歳。龍の国の第一皇子。別名「白の皇子」。皇后(空の部族出身)の息子。金髪、碧眼。長子ではあるが、身体が弱く、病がちであるため皇位を継ぐことに反対されている。穏やかな性格。雷功の使い手。朱花と出会い、変わっていく。


ソク

 20歳。龍の国の第二皇子。別名「黒の皇子」。五の妃(土の部族出身)の息子。漆黒の髪、金の瞳。部族間の差別によって、皇子たちの中で一番冷遇されてきたこともあり、冷酷で残忍な性格。左目に地功の力を宿す。左目のまわりがウロコで覆われているため、異形の者、と恐れられている。


ガク

 20歳。龍の国の第三皇子。別名「赤の皇子」。二の妃(火の部族出身)の息子。朱花の従兄であり、姉(紅香)の夫。赤い髪、碧眼。火功の使い手。野心家で気性が激しいが、皇位を望む母親からの期待と一族を背負う重責に悩む。妻の妹である朱花に心惹かれていく。


リョク

 20歳。龍の国の第四皇子。別名「靑の皇子」。三の妃(水の部族出身)の息子。銀髪、青灰色の瞳。龍の国一番の美男子。皇宮を抜け出し、いつも遊び歩いている。何を考えているのかわからない。水功の使い手。朱花に興味を持つ。


タク

 17歳。龍の国の第五皇子。別名「緑の皇子」。四の妃(風の部族出身)の息子。栗色の髪、深緑の瞳。皇子たちの中で一番年若く、無邪気な性格。朱花の友として、いつも励ましてくれる。風功の使い手。


琉那ルナ

 17歳。龍の国の皇女。皇后の娘。気位が高く、残忍な性格。幼い頃から皍を愛している。


紅香コウカ

 19歳。火の部族長の娘。第三皇子鷽の妻。朱花の姉。赤い髪、緑の瞳。夫の気持ちに気づき、悩む。


御影ミカゲ

 龍の国の神官。朱花と同じく異世界へ迷い込んだ男。星読みの一人。朱花を「剣の巫女」と予言する。


紗良サラ

 朱花付きの女官。剣術、柔術に長け、いつも朱花を守ってくれる。






―序章ー


 むかしむかし。

 五色の龍たちが住む国がありました。

 白の龍は空を飛び回り雷を起こし、人間に雨を与えました。

 赤の龍は口から炎を吐き出し、人間に火を与えました。

 青の龍は山を下って川を作り、人間に水を与えました。

 緑の龍は大地を駆け巡り、人間に風を与えました。

 最後に、黒の龍が地中に潜り、人間に土を与えました。



 祭壇の上には、赤い髪の少女が眠っている。年は十五、六くらいだろうか。白い着物を纏い、そっと組まれた手首には赤い数珠がついている。周りには同じような赤い髪をした人々が少女と同じ白装束に身を包み、少女を取り囲むように立っていた。皆涙を流し、少女を見つめている。祭主らしき男が松明に火をつけ、取り囲む民衆たちに向かってこう言った。

 「赤き龍よ。今ここに、龍の娘を捧げる。」

 男は松明の火を祭壇へと近づけた。祭壇はあっという間に炎に包まれ、民衆の歓声が上がった。少女の母親らしき女が泣き叫びながら、少女へ近づこうと走り出した。


 「朱花シュカ朱花シュカ…!」

 

 

 ―東京。

 朱音あかねは燃えさかる炎の中、動けなくなっていた。修学旅行に訪れた東京。東京一の高層ビルの展望フロアは突然の火事におそわれパニックになった人々でごった返していた。

「非常口はこちらです!押さないでください!みなさん、落ち着いてください!」

 ガイドの男性が必死になって叫んでいるが、誰の耳にも届いてないようだ。非常口はどこなのか。煙が充満し、全くわからない。朱音は壁を手で探りながら出口を探した。

(だれか、助けて…!死ぬのはいや…!)


 シュカ、シュカ…!


 どこかで誰かが呼ぶ声がする。シュカ?

 足が何かにぶつかった。見ると煙で意識を失った人々が折り重なるように倒れていた。このままでは自分も死んでしまう、と思った。そのとき、壁に触れていた手が何かをつかんだ。扉だ。取っ手をぐっとつかみ、扉を開けた。すると、炎がものすごい勢いで朱音に吹きつけてきた。

 ドォーン!

 爆発音に驚き、思わず顔を伏せた。

「あっつ…!」

(え?熱くない?)

 恐る恐る顔を上げると、そこは火の海だった。朱音は燃えあがる炎を見つめた。恐ろしいはずの炎がなぜか美しく見えた。朱音はゆっくりと炎へ手をのばした。


 シュカ、シュカ…!


 また呼び声がする。炎の中の自分の手は熱さを感じなかった。むしろ温かい。なぜ火傷を負わないのか不思議だった。先ほどまでの恐怖感はいつの間にか消えていた。朱音は炎を愛おしそうに見つめた。


 この温かさを、私は知っている。


 シュカ…!


 叫び声と同時に何か動物のような鳴き声が聞こえた。


 龍の声だ…。


 朱音は惹きつけられるかのように、炎の中へ身を投じた。天井が崩れ、何も見えなくなった。


 

 


 


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