どの道沈んだオフィーリア
ゆらゆら漂う夢を見る。
月が綺麗な美しい夜の夢を見る。
波間に漂った夢を見る。
日が沈んだ後の真暗い夢を見る。
ゆらり、と瞳を開く。
「おいで」
誘われるように、洋服を着た兎に手を取られて、深く深い森の奥へと。
「……ここは、どこ?」
「ここは夜の国さ。沈んだ月が生きている場所だよ」
「月の、生きる場所…」
よく分からない世界なのは分かる。あぁけれどきっとこれは夢だ。だって私は。
ゆっくり、瞳を閉じる。
「おいで」
誘われたように、洋服を着た兎から手を離されて、深く沈んだ水へと。
「……ここは、どこ?」
「ここは月の国さ。沈んだ太陽を殺すところだよ」
「太陽を、殺す場所…」
よく分からない世界だと分かる。あぁ、けれどきっとこれは夢よ。だって私は。
ぱちり、瞬きを一つ。
誘われるように、洋服を着た兎から遠くに向かって、深い水の奥へと。
あぁ、あなたはどこに居るのかしら。
ここが私の夢なら、きっと。
きっと、あなたが居るのに。
ぷかり、浮かんだ目を閉じる。
「あなたはどこに居るのかしら」
きっとここには居ないのね。
とぷりと沈み込んで、もう一度。
「おいで」
さぁ、夢を見よう。
あなたが出てくるまで、繰り返そう。
さぁ、夢を見よう。
あなたが出てくる夢を、繰り返そう。
「おいで」
そしてわたしは――――――
ゆらゆら漂う夢を見る。
月が綺麗で冷たい夜の夢を見る。
波間に漂った夢を見る。
日が沈んだ後の真白い夢を見る。