興味
入学式が終わって何週間か経ったある日、陸斗はいつも通りに高校生活を送っていた。
中学の頃まで同様に、陸斗はクラスの人気者になっていた。
明るくて話しやすく、誰にでも優しく、勉強もできてスポーツもできる。それに加えて顔も悪くない。いや、むしろかなりいい方だろう。そんな誰もが夢見る理想形だったからだ。
そんな完璧なら妬まれることも少なからずあるはずだが、陸斗の性格の良さのおかげが、そのようなことは全くない。みんなから好かれている。
「昨日のテレビみた?」
「あー、見た見た。」
「あれ面白かったよなー!」
陸斗を含めて3人、そんな他愛もない会話が繰り広げられていく中で、一つの部活について話が変わる。
「そういえば聞いたか、この学校には奇妙な部活があるって。」
「奇妙な部活?」
「そう。活動内容としては、校内についての不満や改善してほしい点などの相談を受ける部活らしいんだが、その部に相談しにいってなにか改善されたことは未だに一つもないらしい。」
そこで陸斗が聞く。
「それってあれか、名前すら決まってないっていう部活か?」
「それだよそれ。分かっていることといえば、顧問と部員、部室の場所ぐらいだな。」
またも陸斗が聞く。
「部室って第2資料室か?」
「ああ、そうだけど…何でそんなに知ってるんだ?」
「実は少し前から興味が湧いていてね。」
「ええ!陸斗が興味を示すって一体どんな部活?」
そう笑いながら話が続く。
陸斗は本当に気になったこと以外には興味を示さない。だから陸斗が興味があるといったことに驚くのも無理はない。
「でも知ってるといったら山も同じだろ?」
「俺も陸斗と同じで興味を持ってたんだよ。」
「そうだったのか。」
「なあなあ、その部について調べてみないか?」
「俺もそうしたいと思ってたところだよ。」
「じゃあ決まりだな!」
「だったら、私も行きたい!!」
「もちろんOK!そうと決まれば放課後3人で探索といきますか!」
「おー」
「おー!」