ファントム製
リードが母星『惑星・ヴァルハラ』の技術を提供した事によって、霧山隆介が開発した機体シリーズ『ウィルシオン』が主である。
動力源には禁忌獣の『IV器官』及び脳を使用。
現時点では一号機から五号機までが開発されている。ウィルシオン全体に共通して、機体に黒色が使われている、機体名はソロモン72柱の悪魔から取られている、『ワルキューレシステム』を搭載している、等と言った特徴が見られる。『ワルキューレシステム』は元々禁忌獣が持つ『念波を使って互いに会話をする』という性質を利用したものであり、禁忌獣、もしくは他のワルキューレシステムを搭載した機体のパイロットの思考を読むことが出来る。当初はこの機能のオン・オフを切り替える事は不可能で、常に自分の考えが相手に漏れてしまう、という問題があったが、後にオン・オフの切り替えが可能になったが、オフの時は自分も相手の思考を読めないという問題が有る。後に『ヴァルキュリヤシステム』という上位互換のシステムが開発されたが、説明は後述する。
コクピット内のケーブルをパイロットのヘルメットに接続し、パイロットと機体をリンクする事で起動が可能となる。この際にパイロットの脳内には機体の操縦方法が送られ、パイロットはすぐに機体を操ることか出来る。
『理不尽な防壁』という装甲を使用し、現代兵器はおろか禁忌獣の攻撃にも耐えうる防御力を実現している。
『ザガン』以外の機体には飛行機能が備わっている。
『ハルファス』及び『ザガン』の武装名は霧山隆介に頼まれた黒月浩輝が命名。
ウィルシオン五号機・クロセル
パイロット:黒月浩輝
全長:25メートル
カラーリング:黒、水色
武装:なし
開発者:霧山隆介
現時点でのウィルシオンでは最新機。天使の様な姿をしている。この機体の世間での呼び名『ゲファレナー』は、ドイツ語で『堕天使』を意味する『gefallener Engel』に由来する。
最大の特徴は『IVを固体化させる』という能力。機体の頭部の上に発生させた光の輪から粒子状の物質であるIVを発生させ、パイロットが想像した形状を作り、それを武器として使用できる。非常に硬度が高い為、禁忌獣の強靭な肉体も一撃で切断できる。
黒月浩輝により『エンプーサシステム』が発案され、これを実現するために『ヴァルキュリヤシステム』が開発された。
『ヴァルキュリヤシステム』は『ワルキューレシステム』の『禁忌獣およびワルキューレシステム登載機体の搭乗者の思考を読み取れる』という性能をそのままに『任意の情報だけを相手に送ることが出来る』という機能を付け加えた。
『エンプーサシステム』は『ヴァルキュリヤシステム』を介して相手に幻覚を見せることが出来る。ただし、その幻覚を送る前に操縦者自身に幻覚がフィードバックされるため、恐ろしい幻覚を見せようとするほど操縦者の負担も大きくなるという欠点がある。
ウィルシオン四号機・ハルファス
パイロット:藤宮彼海
全長:23メートル
カラーリング:黒、緑
武装:信者の懐剣×2
狂気の嵐×2
開発者:霧山隆介
空中戦に特化した、大きな翼を持つ機体。その姿は鳥人を思わせ、世間での呼び名『ガルーダ』はインド神話の同名の神に由来する。
背中には二丁の散弾銃『狂気の嵐』、両腰には短剣『信者の懐剣』を装備する。IVによって実現された弾丸の加速は、一瞬で福音軍の量産機に穴を開けることが出来、短剣の高速乱舞は鋼をいとも容易く斬り刻む。
ウィルシオンの中では比較的装甲が薄い。現代兵器によって致命的なダメージを負うことは無いが、IVもしくはAIVをエネルギー源とする機体からの攻撃には弱い。しかしその機動性は高く、藤宮彼海の高い技能と合わさることで、敵機の攻撃を華麗にかわすことが可能。
ウィルシオン三号機・ザガン
パイロット:日元奏太
全長:30メートル
カラーリング:黒、黄色
武装:勇龍砲×2
錬金鎚
開発者:霧山隆介
ハルファスとは対称的に、陸戦に特化した機体。強固な装甲を持ち、クロセルの攻撃を受けても大したダメージにはならない。ウィルシオンでは唯一、飛行機能が備わっていない。その巨体を支えるために、脚はキャタピラ状になっている。本来なら高いスピードを出すことは不可能だが、日元奏太の規格外のIV保有量が高速移動を可能としている。ただし、コントロールは困難である。
武装は、両方に一本ずつ乗っているキャノン『勇龍砲』と、背中に装備した『錬金鎚』。どちらも圧倒的な破壊を生み出す。
世間での呼び名『ベヒモス』は旧約聖書に登場する同名の怪物から。
ウィルシオン一号機・バティン
パイロット:倉島大和
全長:25メートル
カラーリング:黒、オレンジ
武装:二丁拳銃
狙撃用ライフル
開発者:霧山隆介
リードが乗っていた『シーファ』を霧山隆介が地球の技術で再現した試作機。しかしスペックは遥かにこちらの方が高い。
五年前、この機体のパイロットとしてリードにスカウトされた倉島大和の要望により、二丁拳銃とライフルが開発された。これらはそれぞれハルファスの『狂気の雨』、ザガンの『勇龍砲』の元となっている。
大和が初戦闘でチオデ島に行ったとき、そこにいたセントに説得され、チオデ島にしばらく住むことになった為、メンテナンスの出来ない日々が続いた。それ故に、黒月浩輝との戦闘にはコンディションの悪い状態で望んだ。しかし、大和の巧みな技術により、最新鋭の機体であるクロセルとも互角の戦いを繰り広げ、相打ちとなる。この時の映像が世界に流された事により大和がウィルシオンパイロットとしての資格を失うと、福音軍の技術者、坂口才磨により解体され、福音軍中国支部の『青龍』として生まれ変わった。
ウィルシオン二号機・オロバス
パイロット:なし
全長:25メートル
カラーリング:黒、赤
武装:なし
開発者:霧山隆介
バティンと同型の機体。ファントムが日元電機の工場に移送する途中で福音軍に強奪された――という名目の機体。実際にはファントム副司令でありながら福音軍最高権力者としての側面も持つリードの茶番によって、福音軍へと遠回しに贈られた、霧山隆介から坂口才磨へのプレゼント。
坂口はこの機体とセントが乗っていた『フィム』の『AIV器官』を組み合わせて『セラフィオン零型・ウリエル』を開発した。詳しくは後述。
レオン
パイロット:世界中の軍人
全長:25メートル
カラーリング:銀
武装:マシンガン
剣
開発者:霧山隆介
霧山が20年前に開発した、世界初の巨大人型兵器。彼がこれを開発した理由はあくまでロマンであり、人型という非効率な形体にも関わらず、戦車や戦闘機を圧倒する戦闘力を持つ。このデータは匿名でアメリカ軍に贈られ、以降世界各地の軍に配備される事となった。自衛隊にもアメリカ軍からは五機のレオンが贈られたが、5年前に坂口才磨によって燃費と操作性を向上させた『霧雨』が開発された。詳しくは後述。