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第八十七話





 1942年7月中旬、将和は宮様らとある協議を海軍省でしていた。


「艦隊を再編すると?」

「うむ。これから空母が主体になるので史実のような第一機動艦隊等を創設すべきだ」


 堀の言葉に宮様は頷いた。


「成る程。機動艦隊創設は私も賛成です」


 この時、聨合艦隊は第一、第二艦隊を筆頭に多くの艦隊を保有している。なお、機動艦隊は全部で三個艦隊も創設予定であった。

 その最初として空母加賀を旗艦とする第一機動艦隊が7月14日付で創設された。司令長官には将和が就任している。


 第一機動艦隊

 第一航空戦隊

 加賀 天城

 第二航空戦隊

 飛龍 雲龍

 第五航空戦隊

 翔鶴 瑞鶴

 第六航空戦隊

 蓬莱 葛城

 第一防空隊

 祥鳳

 第三戦隊第一小隊

 河内 因幡

 第七戦隊第二小隊

 鈴谷 熊野

 第八戦隊

 利根 筑摩

 第一護衛戦隊

 五十鈴

 第六十一駆逐隊

 秋月 照月 涼月 初月

 第一水雷戦隊

 阿武隈

 第四駆逐隊

 嵐 萩風 野分 舞風

 第一七駆逐隊

 谷風 浦風 浜風 磯風

 第十駆逐隊

 秋雲 風雲 巻雲 夕雲

 第三十一駆逐隊

 長波 巻波 高波 清波


 ほぼ前身の第一航空艦隊と然程変化は無いがそれでもとりあえずは機動艦隊化である。雲龍は喪失した蒼龍の代わりに二航戦へ移動している。また、第一防空隊の空母祥鳳は零戦21機、九七式艦攻9機を搭載して防空空母化としている。

 また、秋月型は護衛戦隊に組み込まれる事になった。次いで同日には第二機動艦隊も創設された。初代司令長官には小沢治三郎中将が就任。


 第二機動艦隊

 第六航空戦隊第二小隊

 笠置 阿蘇

 第七航空戦隊

 生駒 鞍馬 蔵王

 第二防空隊

 瑞鳳

 第三戦隊第二小隊

 岩代 薩摩

 第五戦隊

 妙高 羽黒

 第七戦隊第一小隊

 最上 三隅

 第二護衛戦隊

 名取

 第六十二駆逐隊

 新月 若月 霜月 冬月

 第五水雷戦隊

 阿賀野

 第三駆逐隊

 涼波 藤波 早波 玉波

 第五駆逐隊

 早霜 秋霜 清霜 朝霜


 三駆と五駆だが史実と違い峯風型の汐風、帆風、神風型の朝風、春風、松風、旗風は海上護衛隊に移管され護衛隊に組み込まれているので欠番となっていた。その欠番に夕雲型が組み込まれたのである。

 そして同じく同日に第三機動艦隊も創設された。初代司令長官には第二航空戦隊司令官だった山口多聞が中将に進級して就任した。


 第三機動艦隊

 第三航空戦隊

 龍驤

 第八航空戦隊

 飯盛 信貴 飛鷹 隼鷹

 第五戦隊

 足柄

 第九戦隊

 八雲 六甲 伊吹

 第十六戦隊

 長良 球磨

 第六水雷戦隊

 能代

 第十三駆逐隊

 妙風 清風 村風 里風

 第二二駆逐隊

 山霧 海霧 谷霧 川霧

 第二三駆逐隊

 山雨 秋雨 夏雨 早雨


 第三機動艦隊は主に新造艦艇が多数だった。第八航空戦隊は就役したばかりの雲龍型四隻、第六水雷戦隊も編成と就役したばかりでの寄せ集めに近かった。また、乗員も新兵ばかりでとても実戦投入は早かった。唯一の救いは戦没した赤城と蒼龍の乗員を雲龍型四隻に均等に配置した事だろう。しかし、龍驤はまだ修理中のため空母四隻である。

 そのため、山口が最初にする事は乗員の訓練だった。なお、十三駆等は夕雲型で編成されている。


「山口は暫くは内地で留守番だな」


 第一機動艦隊旗艦加賀の艦橋で将和はそう呟いた。第一機動艦隊は航海訓練のためトラック諸島へ向かっていた。


(ミッドウェーで空母三隻を沈めた。残りはサラトガにエセックス、レンジャー……レンジャーは大西洋でUボート狩りに忙しいから現状は二隻……FS作戦はやれるだろうな)


 宮様らの会合で飛行場建設のガダルカナル島は完成次第航空隊が赴く予定であった。ミッドウェーで空母三隻を沈めた事でガダルカナル島の増援は必要無いと判断した。だが将和らの予想は大きく違っていた。

 8月7日、ソロモン諸島は平穏の一日が始まるはずだった。しかし0410、タナンボゴ島の大艇部隊が離水しようとした時、突如米艦載機部隊が来襲したのであった。


「敵機来襲ゥ!!」


 大艇隊とフロリダ島の水戦隊は瞬く間に全滅した。艦載機部隊の入れ替わりにアレクサンダー・ヴァンデグリフト少将の第一海兵師団四個大隊が上陸、激しい戦闘の末にフロリダ諸島は史実と同じ運命を辿る。

 対岸のガダルカナル島にも米軍は上陸し岡村少佐等の第十三設営隊らはマタニカウ川方面へ逃走、同川を第一防衛線とした。唯一の救いは念のためとして海軍陸戦隊一個中隊がガダルカナル島に派遣されていた事にクルツ岬方面の海軍本部に集積された食料が約三ヶ月分保有していた事だった。


『ソロモン諸島のガダルカナル島とツラギ島に米軍が上陸した!?』


 その報は瞬く間に日本軍の中を駆け巡った。


「馬鹿な!? どうやってあいつらは来たんだ!!」


 トラック諸島に停泊する空母加賀の作戦室で報告を聞いた将和は絶叫する。将和は大西洋の地図を見ていたがハッとした。


「……まさか護衛空母が早期就役したのか!?」


 将和の予想は当たっていた。米軍はボーグ級護衛空母のボーグ、カード、コア、ナッソー、オルタマハを予定を繰り上げて早期就役させた。先に就役していたコパヒーも加えて六隻の護衛空母はレンジャーと交代して大西洋でUボート狩りをしていたのである。これにより空母三隻となった米機動部隊はウォッチタワー作戦を決行したのである。

 米軍はガダルカナル島に第一海兵師団の他にも第23歩兵師団も上陸しており史実と異なり二個師団が最初から存在していた。将和がガダルカナル島の地図を睨んでいると通信兵が来た。


「ラバウルの第二五航空戦隊より電文。準備出来次第、ラバウルとブインから攻撃隊を送り込むとの事です。ラバウルに停泊している三川中将の第八艦隊も出撃する模様です」


 ラバウルには陸攻隊、ブインには台南空の零戦隊が在中していた。ブインにはFS作戦に備えて6月から飛行場が建設、航空隊が進出していた。

 また第八艦隊もガダルカナル島へ殴り込みをしようとしていた。


 第八艦隊

 旗艦 鳥海

 第六戦隊

 青葉 衣笠 古鷹 加古

 第七水雷戦隊

 矢矧

 第二九駆逐隊

 高潮 秋潮 春潮 若潮

 第三十駆逐隊

 青雲 紅雲 春雲 天雲


 しかし、第七水雷戦隊は錬度が微妙であった。そのため本来なら水雷戦隊が霜払いを務めるが今回は鳥海が先頭に立ち突撃する事になった。

 0800頃に陸攻隊36機がラバウルから出撃した。次いでブイン基地からも零戦隊18機(先行組。残り18機は陸攻隊の護衛)が出撃し陸攻隊より先行してガダルカナル島へ向かうのであった。


「おぅ、大量にいやがるな」


 零戦隊がガダルカナル島上空へ到着するとガダルカナル島上空には多数のF4Fが飛行していた。


「全軍突撃せよ!!」


 中島少佐率いる零戦隊はF4F約60機と空戦に突入する。F4Fはサッチ・ウィーブで零戦隊を迎撃しようとする。だが相手は笹井中尉、坂井一飛曹、西沢一飛曹等を有する精鋭台南空である。高性能な無線機を持つ零戦隊は巧みに連携をして逆にF4F隊を追い散らす有り様だった。


「よし、後は任せた」


 16機になった先行組の零戦隊は29機のF4Fを撃墜し後の護衛隊に任せてブインに帰還するのであった。そして陸攻隊が到着して雷撃をするため高度を下げる。生き残ったF4F隊は再度零戦隊と空戦、11機を撃墜されるはめになる。


「全軍突撃せよ!!」


 陸攻隊は突撃するが米艦隊の対空砲火は激しく14機の陸攻が撃墜される。しかし、駆逐艦ジャービス、輸送船ジョージ・F・エリオットを撃沈し輸送船二隻が炎上するのである。


「何だこの被害は!?」


 米機動部隊司令官のフレッチャー少将は戦闘機隊の喪失に愕然とした。40機のF4Fが撃墜され味方の戦果は僅か3機という有り様である。


「これだけ喪失しては戦えない……」


 日本機動部隊の恐ろしさを肌身で知っているフレッチャーは撤退を決断して撤退を開始、米機動部隊は輸送船団の上空警戒を放棄したのであった。

 それは第八艦隊に好機を作らせるのである。








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[気になる点] ヨークタウン級三隻共沈んだことになるわけだ。 あのエンタープライズも沈んだわけになるのか?
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