第十八話
感想や修正は暇があればやりますので。ほっときません。
それとタイムスリップ時期と年齢も修正して二、三話の小規模修正になる予定です
サラエボ事件後、オーストリア=ハンガリー帝国は七月二三日にセルビア政府に対して十箇条のオーストリア最後通牒を送付して48時間以内の無条件受け入れを要求した。セルビア政府は条件付き承諾をしたがオーストリアは条件付き承諾に納得せず二五日に国交断絶に踏み切る。そして二八日にセルビアに対する宣戦布告が行われた。これにより第一次大戦が勃発する。
ドイツもロシアの総動員下令を受けて参謀総長のヘルムート・ヨハン・ルートヴィヒ・フォン・モルトケ(小モルトケ)はかねてからのシュリーフェン・プランを発動させ八月一日に総動員を下令し同時にベルギーに対して無害通行権を要求した。そして翌二日にはロシアへ宣戦布告し更に三日にはフランスに宣戦布告したのであった。
伊藤は密かに料亭で三好と会談をした。
「それで派兵するのかね?」
「した方が良いと思います」
「理由は?」
「義を通すためです。史実日本は利を取りすぎました」
「……分かった」
「ただイギリスから派兵要請が来るまではしないでください。それと要請が来たら御前会議と議会の承認を。史実では当時首相だった大隈重信が前例無視と軍部軽視で後に政府と軍部の関係悪化となりました」
「うむ。議会は根回しをしておこう」
これにより政府と軍部の関係悪化は回避されたのであった。そしてイギリスから派兵要請が来ると伊藤は御前会議にかけて議会の承認を得てから八月十五日にドイツへ最後通牒を勧告した。日本は一週間の期限をしたがドイツ側は無回答をしたので日本は二三日に宣戦布告をしたのであった。
「まずは青島攻略である」
山本は直ちに聨合艦隊を編成し青島攻略の準備に取り掛かる。青島にはマクシミリアン・フォン・シュペー中将のドイツ東洋艦隊がいたが開戦から既に青島を脱出しており青島に残っていたのは駆逐艦太沽、水雷艇S90、砲艦イルティス、ヤグアール、ティーガー、ルクスであった。
しかし航空機はあった。青島にはルンプラー・タウベ十四機がおり空からの妨害が懸念されていた。史実では一機しかいなかったがドイツは日本の動向を懸念しており航空機だけでもと送り込んだ結果である。
しかしタウベのパイロットは十機分しかおらず残りはまだ配属されていなかったのだ。だが日本も航空隊を青島攻略に投入させた。
「此処から海軍航空隊の歴史が始まる。総員、恥をかかない戦いをしろ!!」
航空隊指揮官の山崎太郎中佐は並ぶ三好達にそう言う。
「搭乗、掛かれェ!!」
三好の叫びにパイロット達は砂浜に並べられたモラーヌ・ソルニエH(十四年式戦闘機)十機に乗り込む。
「砂浜からの発進は初めてだが……やってみるか」
三好は整備員に準備完了を告げると整備員は退避して三好がブレーキを離す。十四年式戦闘機は砂浜から発進していく。攻撃目標は日本軍陣地を偵察するタウベである。場所が場所なので飛行するタウベを三好は直ぐに見つけた。数は五機である。
「史実と違うんかい!!」
三好はそう怒鳴りつつもタウベと空戦を開始する。十四年式戦闘機はエンジン上部にルイス軽機関銃(十三年式機関銃)一丁を搭載していた。直接引き金を引くのではなく、コクピットからワイヤーによる遠隔操作をしていた。
三好は一機のタウベの後方に回り込み、首を振り返り後方を見て敵機がいないか確認する。確認すると三好はタウベに銃撃をした。ちなみに各機のプロペラのには鋼鈑を敷いていた。
まだ同調発射装置が無いのでプロペラを傷つけたくないので鋼鈑を敷いていたのだ。それは兎も角、タウベはその機動性を駆使して右翼に命中弾を受けながらも三好の銃撃を回避した。
「くそ!! 流石はタウベか、それともパイロットの腕か」
三好はそう愚痴る。三好はこれまでに二百時間ほどの訓練をしていたがそれでも力量は相手が上である。
「それでも……叩き落とす!!」
三好は別のタウベを発見する。三好の十四年式戦闘機は速度を上げてタウベの後方に回り込み銃撃する。しかし、このタウベも銃撃を避けて逃げる。
「クソッタレ!! もっと近づいてやる!!」
三好は更にタウベに近づいて銃撃する。しかしタウベはこれも避ける。
(どうしたら良い? いや、そう簡単に敵機は落とせないのは歴史も証明している。だが諦めるのは早い!!)
三好はまた近くにいたタウベに狙いを定めようとする。周りを確認すると他の十四年式戦闘機もタウベに翻弄されており訓練不足なのは明らかである。
(銃撃する時は後方を確認している。後下方からの銃撃は今の乱戦では無理だ……そうだ!!)
三好は何かを思い付いてタウベの後方に回り込む。
「見越し射撃だ!!」
三好はタウベの未来位置を考えて射撃をした。そして弾丸はタウベに当たる。
「やったか!?」
ある意味フラグを建てる三好だが肝心のタウベは部品を撒き散らすだけでまだ飛行していた。
「後少しだ……」
三好はもう一度タウベの未来位置を考えて射撃する。弾丸はタウベのエンジンに命中して火を噴いて小規模の爆発をする。タウベはそのまま落ちていき地面に衝突して爆発するのであった。
「やった……」
三好は一瞬、気を抜いたが直ぐに後方を確認して敵機がいない事を確認する。追撃しようかと悩んだが燃料が少なくなっていたので全機集合させて帰投した。
損失機はいないが被弾二機で撃墜一機であった。
「はぁ〜……」
無事に砂浜に着陸して地面に降り立つと地べたに座って息を吐いた。
「隊長、一機おめでとうございます!!」
「お、ありがとう」
後から着陸してきたパイロットに三好はそうかけられた。どうやらそのパイロットは三好の撃墜場面を見ていたのだ。
「今日は隊長の撃墜を肴に飲みますか」
「御手柔らかに頼むよ」
三好は他のパイロットと共に山崎中佐に撃墜報告をするのであった。そして翌日も三好は戦闘機隊を率いて出撃した。
「敵機視認、全機突撃!!」
三好は合図をしてタウベ六機と空戦を開始する。
「ち、一機増えてやがる。どんだけタウベを溜め込んでいたんだ」
機数を確認した三好は舌打ちしつつ一機のタウベに狙いを定めて射撃をする。一連射目は外れたが二連射目でタウベに火を噴かせた。
「よし!!」
二日目、三好は勢いに乗って三機を撃墜するのであった。
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