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戦後編第二話









「あー……編成ダルいな……」

「仕方ないですよ、陸海軍の各飛行隊での再編成ですからね空軍ウチは」


 空軍省の大臣室で将和は書類とにらめっこしていたが飽きたとばかりに書類を机に放り投げ菅原大将に慰められる。

 1948年3月中旬、日本空軍は再編成完結の時期に追われていた。戦後直ぐに日本空軍は発足したが、空軍大臣に臨時登板した将和の「直ぐに編成完結すれば色々な障害は出てきそうだから5年を目処に編成完結を行う」とう発言によって空軍は徐々に陸海軍から飛行隊を移管してきた。

 主に陸からは地上襲撃機等の襲撃の飛行戦隊以外からは全て空軍に移管し、海軍は母艦飛行隊、哨戒機等の航空隊以外は陸と同様に空軍へ移管されていた。

 また将官等も航空畑に精通した者が将和の下についていた。菅原大将もかつては陸軍で航空畑を歩んできたので陸から移管されている。


「取り敢えずレシプロ機とジェット機の住み分けもしないとな……」

「そうですな」


 現在、空軍の航空機は以下の通りとなっていた。


 レシプロ戦闘機

 ・艦上戦闘機『陣風』

 ・局地戦闘機『紫電改』

 ・局地戦闘機『雷電改』(排気タービン搭載)

 ・局地戦闘機『震電改』(同上)

 ・四式戦闘機『疾風』

 ・零式艦上戦闘機54型


 ジェット戦闘機

 ・局地戦闘機『震電』三三型

 ・『橘花』(戦闘機型)



 レシプロ機

 ・艦上爆撃機『彗星』

 ・艦上攻撃機『天山』

 ・艦上攻撃機『流星』

 ・陸上攻撃機『銀河』

 ・陸上攻撃機『飛龍』

 ・一式陸上攻撃機

 ・艦上偵察機『彩雲』

 ・零式練戦


 ジェット機

 ・『橘花』(爆撃機型)

 ・『橘花』(練習機型)


 開発中及びライセンス生産取得交渉中

 ・T-33

 ・T-1(史実の富士T-1『初鷹』)




 以上が日本空軍が保有する各航空機となっている。流石に複葉機等の旧式機は退役しており各基地の記念機等になっていた。また、開発中なのは中島航空機で開発中のT-1練習機であった。これは国産ジェット機の運用を高めるため将和の記憶にあった史実のT-1練習機をモチーフに開発されていた。なお、発動機は震電三三型と同じネ180である。

 他にも史実航空自衛隊が練習機として運用していたT-33もアメリカにライセンス生産の交渉中であった。


「まぁ空軍はまだマシな方ですよ。陸海軍は軍縮と近代化の真っ最中ですからね」


 そこへ口を挟んできたのが吉良であった。陸海軍は現在、その規模を縮小及び近代化のために軍縮の真っ最中であった。

 陸軍は100個以上あった各師団を削減して現在(1948年)では21個師団、3個機甲師団を含む、15個旅団、3個砲兵師団となり各方面軍に配備されていた。



 陸軍 各方面軍


 北部方面軍(4個師団 1個機甲師団 1個砲兵師団 5個旅団)

 司令部 千歳

 第二師団

 第七師団(機甲師団)

 第五師団

 第十九師団

 第二十師団

 第二旅団

 第五旅団

 第七旅団

 第十九旅団

 第二十旅団

 第一砲兵師団



 東北方面軍(3個師団 2個旅団)

 司令部 仙台

 第六師団

 第九師団

 第十四師団

 第六旅団

 第九旅団


 東部方面軍(3個師団 2個旅団)

 司令部 朝霞

 近衛師団

 第一師団

 第十二師団

 第一旅団

 第十二旅団




 中部方面軍(4個師団 1個機甲師団 1個砲兵師団 2個旅団)

 司令部 伊丹

 第三師団(機甲師団)

 第十師団

 第十一師団

 第十三師団

 第十四師団

 第三旅団

 第十旅団

 第三砲兵師団



 西部方面軍(3個師団 1個機甲師団 1個砲兵師団 2個旅団)

 司令部 健軍

 第四師団

 第八師団(機甲師団)

 第十五師団

 第十六師団

 第八砲兵師団

 第四旅団

 第八旅団

 




 南西方面軍(3個師団 2個旅団)

 司令部 高雄

 第十七師団

 第十八師団

 第二十一師団

 第十七旅団

 第十八旅団





 このように陸軍は縮小していた。だが、近代化のため戦車も四式戦車『チト』に更新されつつあった。また、海軍も海軍で縮小していた。



 聯合艦隊


 第一戦隊

 『出雲』『長門』

 第二戦隊

 『伊勢』『日向』

 第三戦隊

 『河内』『因幡』『岩代』

 第四戦隊

 『高雄』『摩耶』

 第五戦隊

 『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』

 第六戦隊

 『鈴谷』『利根』

 第七戦隊

 『八雲』『伊吹』『和泉』『六甲』

 第一護衛戦隊

 『五十鈴』『長良』

 第二護衛戦隊

 『阿武隈』『多摩』

 第一水雷戦隊

 『阿賀野』

 第二水雷戦隊

 『能代』

 第三水雷戦隊

 『矢矧』

 第四水雷戦隊

 『酒匂』

 第五水雷戦隊

 『四万十』




 第一航空戦隊

 『加賀』『信濃』

 第二航空戦隊

 『翔鶴』『瑞鶴』

 第三航空戦隊

 『大鳳』『神鳳』

 第五航空戦隊

 『雲龍』『蓬莱』『葛城』『生駒』

 第六航空戦隊

 『飯盛』『信貴』『飛鷹』『隼鷹』



 16個駆逐隊

 『陽炎』型及び『夕雲』型の混合により1個駆逐隊四隻で再編成。




 海上護衛総隊

 旗艦『龍田』

 護衛巡洋艦

 『天龍』『龍田』『香取』『鹿島』『夕張』

 護衛空母

 『神鷹』

 海防艦

 『占守』以降60隻



 残っていた『神風』型~『吹雪』型~『朝潮』型、甲巡『青葉』等は退役して防波堤や解体されていた。特に『吹雪』『白雪』『初雪』『深雪』は北九州市若松区にて軍艦防波堤となっていた。

 また、海軍も暫くの建造は民生のために控えて近代化改装で乗り切るつもりであった。他にもアメリカからMk.37 砲射撃指揮装置、Mk.51 射撃指揮装置、Mk.56 砲射撃指揮装置等々のレーダー類を輸入して電探類の向上を図っていたのである。更には試作のテリアミサイルも購入して海軍独自の艦対空ミサイルの開発も急がせていた。


「ですが……また内閣が倒れるとか……」

「……ええ加減にせぇよ……」


 吉良の情報に将和は頭を抱えるのである。そして1948年8月15日、ソウルにて李承晩が大韓民国の成立を宣言し金日成はそれに対抗して9月9日にソ連の後押しによって朝鮮民主主義人民共和国を成立させたのである。


(歴史はあの戦争を変える事はしない……か……)


 空軍大臣室で報告を聞いた時、将和は溜め息を吐いた。なお、日本の内閣は片山内閣が倒れて新たに芦田内閣が成立し将和はそのまま留任という形で横滑りをしていた。


「どうなる事やら……」


 そう呟く将和であった。そしてこの日、連合国に占領統治されているドイツのバイエルン州ニュルンベルクにて一人の空の英雄が服毒自殺をした。

 その男の名はヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリングであった。

 ニュルンベルク裁判は史実より長めに続いていた。それは1944年前半までドイツ第三帝国総統だったアドルフ・ヒトラーからクーデターを決行し自らヒトラーを殺したゲーリングの死刑か無期懲役かを争っていたからだ。ゲーリングはヒトラー暗殺後に連合国ーーソ連以外のアメリカ、イギリス等に秘密交渉で西部戦線の大幅な引き上げを実行しフランスのパリ無血開城をしたりして連合国の戦争計画を大幅に変更させていた。ただし、ドイツ国土に侵攻すれば激しい抵抗もあったしソ連の東部戦線に西部戦線の余剰戦力を派遣したりと史実以上にソ連を苦しめ、バグラチオン作戦が成功しなかったりもした。

 裁判ではアメリカやイギリス側が無期懲役を主張し何とか生存をさせようとしたがソ連は強硬に死刑を主張して平行線を辿る一方だったのだ。だが裁判は結局史実と同じく死刑判決となるがゲーリングは臆せずあろうことか委員長にこう告げた。


「死刑判決であれば私はアトミラール・ミヨシに撃たれるのを希望する。理由? 私はアトミラール・ミヨシと空戦の再戦をする約束をしていたがそれが出来なくなった。その代わりとしてアトミラール・ミヨシに撃たれる事を希望するのだ」


 ゲーリングの主張に連合国側がまた荒れたのは言うまでもない。アメリカやイギリス側は「死刑判決を受け入れたのだからゲーリングの言う通りにするべき」と主張した。アメリカやイギリス側はさっさと終わらせたかったのも理由だった。だがソ連は強硬に自軍側の兵士で銃殺にすると主張した。その為、アメリカやイギリスは絞首刑で終着させたのだ。

 しかし、ゲーリングは絞首刑と発表されたら直ぐ様隠し持っていた青酸カリを用いて夜中に服毒自殺したのである。


「……馬鹿野郎ォッ!!」


 ゲーリングの事を聞いた将和は酷く狼狽し大量の涙を流した。そしてアメリカから将和に宛てられたゲーリングの手紙を渡されたのである。


『マサカズ、どうやらボクの命運は此処までのようだ。君と初めて会った時の空戦、君とリヒトホーフェン隊長の国葬の時に二回目に会った時……今でも瞼を閉じれば思い出す記憶だよ。ボクはその記憶と共にリヒトホーフェン隊長やルフトヴァッフェの為に散っていた多くの空の英雄達のところに赴く。だけど君はまだ来ないでほしい。君は君でヤーパンでまだやるべき事がある筈だ。その事が終わってから来てほしいかな。来た時は今度こそあの時の空戦の決着を付けよう。さようならは言わない。だからまた会おう、世界の撃墜王!!』


「…………………あぁッ!! また会おう、ドイツの撃墜王!!」


 涙を拭き取り将和はそう言い大臣室の窓を開ける。空は青く清んでいた。将和にはその空に赤く塗られたフォッカーDr.1を筆頭に多くの戦闘機が白く塗られたフォッカーDr.1を迎え入れた光景が見えていた。そして紅いフォッカーDr.1が上昇していくと他の戦闘機達も上昇していく。

 白いフォッカーDr.1は将和に向かって大きくバンクするとゆっくりと上昇していくのであった。将和はそれを敬礼で見送るのである。









 そして1950年6月25日、突如北朝鮮は約10万の兵力で北緯38度線を超えて韓国に侵攻を開始した。

 後に言われる『朝鮮戦争』の始まりであった。









御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 空母『信濃』のスペックが気になります。
[一言] あくまで将和と空戦したいために命をたったヘルマン。
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