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戦後編第一話

ちょっと修正しました。








 1947年(昭和22年)5月1日、史実では5月の下旬に吉田内閣から片山内閣に変わろうとしていたがそれはこの世界でも同じだった。

 本来というか、当初は将和らも片山内閣の支持母体である日本社会党等の復活は許す筈もなかったが廣田や吉田らに「右ばかりではまた戦争という足下に国民が掬われるかもしれない」という説得を受けて将和らも「史実のような拡がりを見せれば即解党」という条件で復党が認められたのだ。

 なお、鳩山一郎に関しては戦前の統帥権問題等も鑑みて公職追放は依然として続けられていた。(残当)

 そのため自由党総裁は史実通りに吉田に譲られていたのである。


「チッ、吉田のアホが。芦田に足下救われやがって……」


 将和は自宅にて新聞を読みながら朝食中であった。なお、朝食は麦飯(7:3)にウインナーと目玉焼きのキャベツである。


「もう、貴方。行儀が悪いわよ」


 それを見ていた将和の本来の嫁であり公式上は故人となっている三好夕夏は何故かメイド服を着ての朝食を同伴していた。


「済まん済まん……」


 将和はそう言いながら新聞を片付けて朝食を平らげる。そして時間になると新しく採用された空軍の第一種軍装に着替えて日本空軍省がある市ヶ谷駐屯地の日本軍国防省へ出勤した。(ちなみにバイクでである)


「隊長、そろそろ迎えを出すのでそれにしてくださいよ」

「ん。まだいいぞ」


 将和を出迎えたのは空軍副長官の吉良である。(階級は空軍大将)


「ですが……昨年の首相官邸デモ事件もあって下の者もピリピリしているのですよ」

「まぁそれなら……仕方ないわな」


 吉良は1946年に起きた在日朝鮮人による首相官邸デモ事件の似たのが将和にも及ぶのではないかと危惧していたのだ。吉良にそう言われたら流石の将和も頷くしかなかった。


「とりあえず部屋に行こうか」


 そして将和は空軍長官室に入り本日のスケジュールを確認する。秘書官と共に確認をする。


「今日は九州飛行機が開発した試作戦闘機を見学する1日です」

「ん」


 秘書官の報告に将和は頷き出してくれたコーヒーを飲む。


「確か……噴式震電二二型の改良型だったな」

「はい。そう聞いています」

「俺の飛行服も用意しといてくれ」

「……また乗るので?」

「検証しないと分からんだろ」

(テストパイロットの意味ェ……)


 秘書官の内心はさておき、将和は準備をして厚木に向かい、厚木にて待機していた六式輸送機(一式陸攻を輸送機に手直した機体)に乗り込んで岐阜飛行場がある各務原市に向かうのである。


「わざわざありがとうございます三好長官」

「なに、好きでしている事だ」


 技師からの言葉にそう言って将和は格納庫に鎮座している噴式震電を見つめる。


「発動機を交換したそうだな?」

「はい。ネ180を搭載した改良型です。こちらが要目になります」




 震電三三型


 全長 10m

 全幅 12m

 主翼面積 22.50㎡

 正規全備自重 5,300kg

 発動機 ネ180(推力27KN)

 最高速度 1018キロ

 武装 五式30ミリ機関銃×3(各門100発)

 航続距離 1200キロ



 全長・全幅等は史実とほぼ同じであり武装は30ミリ3門に減らして装弾を一門100発に増やした機体であり発動機は新型ネ180であり推力は27KNである。

 航続距離については元の機体が局戦であるため短かったもののそれでも1200キロは確保していた。

 速度についても日本軍で初めて550knot(1018キロ)を記録しており日本空軍が初めて音速を越える噴式戦闘機となるであろうと期待されていた。


「三好長官、本日はよろしくお願いします」

「おぅ坂井か」


 将和に声をかけたのは日本空軍の第765実験航空隊に配属されている坂井三郎大尉である。本来、坂井は海軍航空隊のパイロットだったが台南空から再編された202空で若手パイロット達と以前から空戦に関しての意見衝突を繰り返しており遂には一部のパイロットによる戦闘中の後ろ弾をされてしまった。

 一連の結果、小園大佐や笹井少佐らは坂井を庇いきれなくなり、話を聞いた将和が空軍へ移管させ実験航空隊へ配属させたのである。実戦から遠ざかるわけだが坂井としてはまだ飛べる機会を与えてくれた将和には感謝しきれなかったのである。なお、後ろ弾したパイロットは軍法会議の判決で名誉除隊という形で軍を追われたのであった。

 202空の若手パイロット達は「三好長官が坂井を庇った」と批判したが将和は202空に出向いて雷を落としたのである。


「馬鹿野郎ォ!! そもそも後ろ弾をする時点で日本軍人としてやる行いではないわ!! そのような者がおれば軍として成り立たん!! 文句がまだある奴は構わん、除隊を認めてやるからさっさと立ち去れェ!!」


 将和の怒号に若手パイロット達は何も言えずこの件はこれで終わったのである。


「後で俺も乗るから壊すなよ」

「壊しませんよ。てか乗ったらまた怒られますよ……」

「俺が乗って判断しないとな」

(また吉良大将の胃が大破するんだろうなぁ……)


 坂井はそう思うが言わぬが仏かもしれないと思うのである。なお、坂井の飛行後に飛行服に着替えた将和が離陸して試験飛行をするのである。


「局戦運用なら100パーこいつだな」

「甲戦にはやはり向かないと?」

「元が局戦だからなぁ……。だが採用はするぞ、ソ連の事を考えればな」


 ウラジオストクにあるソ連空軍の基地にはB-29をコピーしたTu-4爆撃機が10数機程度、配備されているという情報もあるので将和は採用する気だったのだ。


「でも次の内閣……ヤバそうな気が……」


 吉良は次期総理と言われた片山の事を危惧していた。他から優柔不断と模されているのだ、採用の予算が付くか微妙と思っているのだ。


「まぁそこは何とかするさ」


 そう言う将和である。6月、吉田内閣は倒れ、新たに片山内閣が成立した。だが、閣僚の就任が決まらず史実通りの一人内閣が成立するのである。当初は陛下も片山内閣に嫌疑をしたが憲法改正で天皇は日本国の象徴として記載されていたのでとやかく言うのは止めていたのである。

 将和は一人内閣という事で一気に決めるべく首相官邸に乗り込んだのであった。


「……ですが三好大将、今の時期では……」

「時期とか言っている場合ではありません」


 渋る片山に将和はズイッと身を乗り出す。将和の気迫に片山は怯え付く。


「今はまだウラジオストクに10数機しかいませんがソ連は直ぐに大量生産して配備させますぞ。よもや貴方は九州がB-29によって爆撃された記憶がまだ新しい筈ですぞ」

「うっ……」


 将和の指摘に片山は更に焦る。あの時はまだ戦時中だったのでやむを得ない事情だったかもしれない。が、今は戦時ではなくいつソ連が来るか分からないのだ。


「場合によりましては……支持率も下がりますぞ?」

「………」


 既に一人内閣をしているので支持率も下がり気味というのを自覚していた片山はゆっくりと震電三三型採用の承認を認めるのである。

 なお、将和の行動に激怒したのは日本社会党であった。


「三好大将の行動は許せん!!」


 そう言い放つ社会党だがそれを抑えたのは同じ社会党の書記長代理である浅沼稲次郎だった。


「確かに三好大将の行動は許せないだろう。だが、内閣の混乱を作らせたのは我々社会党が連立している民主党、国民共同党等に譲歩していなかったからだ。我々が譲歩していれば三好大将もあのような行動はしなかっただろう」


 皇室を敬愛する浅沼は将和の行動を日本国民は元より皇室を守る事であると捉えていたので叫ぶ者達を諌めるのであった。






御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m

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